安易に短期的な有効性・効率性のみで判断しないで!


日本史研究会など7団体が「指定管」で京都府に要望書

 歴史学者の最大の学会である日本史研究会や歴史教育者協議会など7学会が4月4日、公立の博物館や資料館に指定管理者制度を導入する際に「短期的な効率性のみで判断せず、対象機関や学術団体とも十分に議論してほしい」などとする要望書を、山田啓二知事に提出しました。麻生太郎総務相、中山成彬文部科学相や、桝本頼兼京都市長、他の都道府県知事、大都市の市長らにも郵送。
 要望書は、「経済効率のみを優先させ、その基準で民間事業者を管理者に指定したら、地域の文化活動を支え文化財を後世に伝えるという長期的な視野に立った運営に支障をきたす危険性がある」と指摘しています。
 
 資料館や博物館に対する指定管理者制度の導入に関する要望書
 
 現在、厳しい財政状況のなか、各地の自治体は公共事業の効率化を進めています。現行の管理委託制度が廃止され、指定管理者制度が導入されたことにより、資料館や博物館の運営も見直され、民間事業者に管理を代行させたり、あるいは管理の代行を検討している自治体もあるようです。しかし、地方自治体が経済効率のみを優先させ、その基準で民間事業者を管理者に指定したならば、地域の文化活動を支え文化財を後世に伝えるという長期的な視野にたった資料館や博物館の運営に支障をきたす危険性があります。 
 本来、公立の資料館等は短期間の収益性によって効果を計るべきものではありません。資料館や博物館が行っている文化財や資料の調査・収集・保存は、文化財を守り伝えていくうえで、今後も必要な事業です。またそれを担う専門的な知識と技能を持った職員が、地域に根付いた調査・研究を行うための環境整備も不可欠です。
 よって、こうした資料館や博物館等の存在意義に鑑みて、地方自治体が管理形態もしくは管理者の指定を検討される際には、安易に短期的な有効性・効率性のみで判断することなく、対象となる機関や学術団体とも十分に議論してその意見も参考にしていただきたく存じます。公共施設としての意義を十分考慮し、行政として責任を持った施策を示していただきたく、お願いいたします。
 大阪歴史学会、京都民科歴史部会、地方史研究協議会、日本史研究会、歴史科学協議会常任委員会、歴史学研究会、歴史教育者協議会
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