府立郷土資料館を直営施設として

充実させることを求める要求書

府職労教育部会    

 今年度京都府が実施した事務事業評価に係る公共施設評価において、府立両郷土資料館の自己評価調書の中に「新たな運営改善について、民間企業等の手法なども含めて検討し、その結果により方向性を出し、平成18年度から着手することとするため、来年度については(府立施設として)継続とする。」とある。
 現在平成15年度の地方自治法の一部改正により、公の施設の管理を、財団法人等だけでなく広く民間企業やNPO等の団体にも代行させる「指定管理者制度」の導入が図られ、全国的に直営の公共施設に対しても検討が進められる傾向にある。京都府においても、昨年の12月府議会で「京都府の施設の管理等に関する条例」が制定された。こうした状況に鑑み、評価調書の「18年度からの」「民間企業等の手法」はまさに指定管理者制度の導入ではないかと危惧される。
 「京都府立郷土資料館条例」第1条に「郷土についての歴史資料、考古資料、民俗資料等(以下「資料等」という。)の保存及び活用を図り、もつて府民の文化的向上に資するため、京都府立郷土資料館(以下「郷土資料館」という。)を次の表のとおり設置する。」とあるとおり、両郷土資料館の設置目的は郷土資料の保存及び活用、それを通しての府民の文化的向上を図ることである。地方自治法第244条の2にも「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるとき」指定管理者を導入する「ことができる」とあり、主目的は公的施設の設置目的の達成であり、両郷土資料館の場合、以下の点から民間企業等への管理委託等の民間的手法では設置目的を達成できないと考える。
 まず両郷土資料館の活動の大きな柱である保存、調査事業は利潤追及にはまったくなじまない業務である。もし民間的手法等を導入すれば事業は縮小、制限され、文化財保存の役割を果たせなくなる。地域には寺社、自治会、個人所蔵のすぐれた文化財が多くあり、郷土資料館はそれらの文化財を無償で預かり保存のために大きな役割を果たしている。文化財を寄託する府民の方も府立であることで安心して預けられている。また廃棄されがちな民俗文化財も収集し、郷土の民俗文化の伝承にも大きな役割を果たしている。郷土の歴史、文化の伝承には文化財の保存と調査、研究が不可欠であり、展示等普及活動、生涯学習活動はこうした文化財の保存、調査、研究事業を基礎に成りたっている。保存事業の停滞はそのまま郷土の歴史、文化伝承を中断させるのではないかと危惧される。
 次に普及事業では、民間的手法等では展示の入館者数のみが優先され館の設置目的である山城、丹後地域の郷土の歴史や文化に関係のない集客のみを優先する展示企画となる。30年来両郷土資料館は郷土資料の調査につとめその成果を紹介する展示を中心に行ってきており、そのことに対し府民から大きな評価を得ている。そうした展示や講座を含めた日頃の普及活動から府民が資料館に求めているのは郷土に関する歴史、考古、民俗の知識、情報であると実感している。府民が郷土の歴史、文化を知ることは単に府民個人の生涯学習的な教養だけでなく、地域の活性化や伝統を踏まえた地域作りにも大きな役割を果たす。また最近では地域住民や学校現場から館所蔵のさまざまな資料(実物資料、体験用資料、情報資料など)の活用が求められることが多くなっており、積極的に対応している。しかし、これらの使用に対しても対価を求めることになり、府民が気軽に利用して、府民が等しく文化的に向上することに資するという公的施設としての設置目的を阻害する恐れがある。
 郷土資料館は府立でありながら他府県に比べ事業予算は無きに等しいものであり、資料の調査、収集がまともにできず、展示、普及活動も職員がかなり無理をして行っている現状である。そうした予算状況からしても民間的手法では対応できるものではないと考える。両郷土資料館職員はそうした低予算にかかわらず専門性を生かして地域で見過ごされてきた貴重な郷土資料を発掘し、展示や講座、現地見学、体験的活動などさまざまな形で紹介して府民の評価と信頼を得てきているが、それでも予算、施設面において、府民の「もっと郷土の歴史、民俗文化を知りたい」という生涯学習的意欲に十分応えるには限界がある。
 私たちは、引き続き府民の文化的向上のために力を尽くすとともに、両資料館のあり方が職員の勤務条件にも重大な影響を及ぼすことに鑑み、下記のとおり申し入れるものである。                  
                  記

1 評価調書にある「民間企業等の手法なども含めて検討」とある「民間企業的手法」とは何か、具体的に明らかにすること。
2 府当局として、平成18年度以降郷土資料館に対しても指定管理者制度を導入するべく検討しているのか、明らかにすること。
3 「郷土資料館条例」にある府民の文化的向上に資するためとある、公共施設としての本来の役割を発揮できるように、安易に指定管理者制度を含めた「民間企業的 手法」によらず、京都府直営の施設として運営を続けること。
4 現在、地域の活性化が強く望まれており、両郷土資料館が府民に等しく文化的教 養を高め、それをバネに地域活性化のための役割を一層果たすことができるよう他の府県立博物館と同等の予算と施設の充実をはかること。
5 両資料館は実質的に博物館の業務を行っており、さらなる府民の要望に応えてより充実した活動ができるよう、社会教育施設として博物館法における「登録博物館」にすること。
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