京都府立丹後郷土資料館、京都府立山城郷土資料館の
「公共施設評価調書」 の白紙撤回を求める
申入れ書

 2004年9月2日に京都府が「平成16年度事務事業評価」とあわせて発表した「公共施設評価」の結果を受けて、9月3日付けの新聞各紙は「丹後郷土資料館と山城郷土資料館については、施策目標への寄与度や効率性の点でC評価(期待した施設運営効果が上がっていない)がつけられた。」【京都新聞】、「府立山城郷土資料館と丹後郷土資料館で『期待した効果が上がっていない』との結果が出た。入館者数が減少傾向にあり評価が低かったとみており、今後の経営改善に役立てる。」【日本経済新聞】などと報道した。
 記事には、これら事務事業評価が「公共施設の自己評価」などと明記されているにも関わらず、当該両郷土資料館において、館長以下の職員全てが、この評価調書の記載内容どころか、こうした「自己評価」が行われたこと自体、一切知らされていなかった。館の将来への不安、本評価への不審が極限までに高まったのは当然過ぎる事態であった。
 この評価は大きな問題をはらんでいる。
 調書の各項目の記載内容が両館の実態を充分反映していないばかりか、「京都府立郷土資料館条例」が定めた設置目的、事業内容を踏まえたものともなっておらず、評価のあり方として根本的な誤りが数多く指摘される。「自己評価」調書であるにもかかわらず、主体たる館に知らせずに記載したこと自体、重大なプロセス上の誤りであるが、たとえ所管課である文化財保護課としての「自己評価」として見るとしても、評価能力そのものが疑われるものである。
 例えば、単独で成果指標とするには不適当と考えられる入館者数のみを指標とし、「成果指標では表せない効果等」が全くの空欄とされている。
 そのうえ、「改善性」の項目で「改善の余地がある」とし、「方向性」の項目で「新たな運営改善について、民間企業等の手法なども含めて検討し、その結果により方向性を出し、平成18年度から着手することとする」と記されている。地方自治法改正による指定管理者制度導入あるいは業務の民間委託等を検討すると理解できる。さきの12月府議会において「京都府の施設の管理等に関する条例」が制定された現在、具体的な方法としてどのような形を想定しているのかを、府及び府教育委員会当局はまず明らかにする必要がある。
 以上のように、本調書は、両郷土資料館の将来について悪影響を及ぼすばかりでなく、京都府の事務事業評価、公共施設評価制度そのものの根幹を揺るがしかねない重大な欠陥に満ちた調書だったのである。
 このままこの調書を公開し続けることは、資料館の活動に支障を来たし、京都府の資料館及び文化財保護行政への姿勢のみならず府政全体への大きな不信を招くことになる。
 今回の評価調書作成及び公開の当事者である府及び府教育委員会当局は、こうした欠陥調書を作成し公開した経緯を明らかにする説明責任がある。説明すべき対象は、両館職員、京都府民ばかりでなく、インターネットなどを通じて本調書を閲覧しえた全ての人々に対してであり、その「説明」は、事務事業評価同様に、インターネット上の公開及び報道機関へも公表されねばならない。その上で、この京都府政に禍根を残す調書を白紙撤回することを要求する。
 私たちは、京都府立丹後郷土資料館及び京都府立山城郷土資料館の「公共施設評価調書」に関して、両館のあり方が職員の勤務条件にも重大な影響を及ぼすことに鑑み、下記のとおり要求するものである。

                    記

1 丹後、山城両郷土資料館の「公共施設評価調書」は両館に全く知らされずに作成、公表された「偽造された自己評価」と言うべき調書である。府及び府教育委員会当局は、調書作成の経緯について説明し、それを公表すること。
2 調書の内容は不全な記載があまりにも多い。「民間企業等の手法なども含めて検討」とは具体的に何を行うのか、「成果指標では表せない効果等」として「館の独自の存在意義及び成果」等を記述しなかった理由は何か等の疑問について答え、それを公表すること。
3 作成プロセス及び記載内容の両面において、誤った「自己評価調書」を白紙撤回し、その事情を府ホームページ及び報道機関を通じて公表すること。
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