指定管理者制度に関する申し入れと回答

2004年12月17日

 9月9日、12月14日に提出した「指定管理者制度に関する申し入れ」に対する、経営戦略室・人事当局からの回答内容(12月16日) (◆が回答、整理は組合

 1.質問事項

1)「京都府の施設の管理等に関する条例(案)」として、「公の施設」に限定していないのはなぜか。また、第1条及び第2条に規定している「府の施設」の定義を明らかにすること。
 
  ◆府は他県と異なり、「府民福祉の増進のために活用している施設(他県では3セク委託が多い)も普通財産に入れている。府民から見れば「公の施設」と同じであ り、「公の施設」とは異なる手続きで貸し付けているが、手続きの透明性や選定の 客観性をはかるため、「例による」こととした。

◆府の権限の及ぶ全ての土地、建物である。

2)「京都府の施設の管理等に関する条例(案)」に係る施行規則はいつ制定されるのか。また、指定管理者制度導入に係る指針(ガイドライン)が策定されるのか。されるとすれば、時期はいつか。
 
  ◆規則については条例公布と同じ時期。年内目途に最後のつめをしている。
◆指針については、個々経過がある30の施設に共通する中身として何が必要か、整理中。年内の作成は難しい。
◆(12議会では、「各施設の管理基準や業務範囲は府議会の議決を経て定める個々の設置条例で定める」と答弁している)
  ◆今後のスケジュールとしては、公の施設は06年9月1日までに指定管理者制度に移行しなければならないので、その1年前(05年9月)までには個別条例を定める必要がある。

3)府の普通財産施設について、指定管理者に準じた制度を導入することに関し、現在府議会の同意を得て法人等に貸付している施設を引き続き貸付する場合、どのような手続きをとるのか。「公の施設」のように、新たに他の法人・団体等の参入の可能性はないのか。また、各施設ごとの現在の貸付終期までは、現状どおりとするのか。

  ◆スキーム(現在は個別施設ごとに議会議決を得て貸与している)は変えないが、今度の条例にある「手続きの透明性などの精神」が生かせるようにしたい。

◆現在貸与中の施設は議会議決を得ている。具体的に示せる検討はできていない。

4)指定期間は個別施設ごとの設置条例改正により規定するのか。

  ◆条例には入れず、募集要項、指定時の議案に入れる。

5)現在施設の管理委託を受けている法人等に派遣されている府職員は、指定管理者に移行した時点で派遣されなくなるのか。当該施設にとどまることは可能か。

  ◆これまで同様に団体から要請があれば派遣する。

6)「京都府の施設の管理等に関する条例(案)」の第4条第1項、第4号第2項第3号並びに第5条第1項第5号の「知事等が特に必要と認める要件・とき・事項」の内容は何か。   

◆4条1項:府税滞納、破産者、暴力団などの不適格条項

 4条2項(3):現時点ではPFI事業者(建設から管理を一括発注する制度のため)を想定
 5条1項(5):損害賠償義務、現状回復義務、丸ごと再委託禁止、報告義務など

2.要望事項

1)直営施設については、公的責任の遂行及び公共性の確保のために、業務の委託及び指定管理者制度への移行を行わないこと。

◆毎年の組織議論の中で検討していくものと考えている。
◆(11月9日の制度導入骨子案説明の場では、経営戦略室担当でなく人事当局担当の「直営施設」については、「違ったかたちですすめたい」と回答している)

2)地方自治法第244条第1項及び第244条の2第3項の規定に基づき、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設である「公の施設」の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、指定管理者に管理を行わせることができるという趣旨をふまえ、施設によっては管理委託から直営に変更することも検討すること。

  ◆現時点では考えていない。

3)現在管理委託されている施設及び貸し付けられている普通財産施設についての今後の運営方針を早急に明らかにすること。

  ◆早急につくりたい。

4)関係規則制定及び個別の施設ごとの設置条例改正の時期及び内容の決定は、関係職場・職員の意見を十分聞いた上で決定すること。

◆十分説明しながらすすめたい。

5)規則及び個別条例等の中に次の事項を明記すること。

@府の施設管理の目的として、当該施設が公正・適切・平等の原則のもとに住民福祉の増進を図ることを明記すること。

  ◆法令遵守でしばっている。

A「公の施設」は住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設であることをふまえ、管理委託費等の管理経費の縮減を目的とした効率的管理を指定管理者選定の条件としないこと。また、利用料は安価であることを原則とし、減免規定を設けること。また、利用料等の範囲、算定方法、上限の適正化、透明性を図ること。

  ◆単に経済的な面で選定する立場ではない。しかし効率性は必要。
  ◆(12月議会では、「指定管理者の選定は、公正・公平で透明なものにする必要があり、単に経済性・効率性の追求だけでなく、施設の設置目的に沿った安定的なサービス提供、より効果的な府民サービスの提供という3つの視点を基本とし、総合的な評価の上選定することになる」と答弁)

◆現在同様、「安価の原則、適正負担」の考えでいく。
◆利用料金制の基本は、個別条例で決める。事業者からの事業計画書、報告書でチェックできる。

B管理を安定して行う要件として、具体的に「当該事業に関わる活動実績、専門性、技術、人材等が確保されていること」「労働基準法等関係法令を遵守し、職員について正規(常勤)雇用を基本とすること」を明記すること。なお、従前の受託団体で働く労働者の雇用確保に努めるとともに、賃金・労働条件はこれまで同様に府職員に準じたものとなるよう努めること。

  ◆指定管理者サイドの問題なので明記はむずかしい。
  ◆本条例で指定管理者選定にあたっては、「施設の設置目的にそった安定なサービス提供、法令遵守などを総合的に判断する」ことをうたっている。

C「申請がない、あるいは審査した結果適当と思われる団体がない場合は、設置者が管理するものとする」こと。

◆適当な団体がない事態は現時点では想定していない。適当な団体がない場合は直営となるが、実際は団体が決まるまで募集を繰り返すことになる。

D施設の利用に関して、「指定管理者は正当な理由がない限り、施設の利用を拒んではならない」こと。
 
  ◆上位法の地方自治法で規定されている。

E 委託元である府が「指定管理者の管理業務の実施状況について、定期的に報告を求め、調査を行い、必要な指示を行うことができる」こと。また、情報公開の規定を明記すること。

  ◆事業報告書は提出させることになっており、個人情報以外は情報公開の対象になる。
 ◆(12月議会で、「指定管理者は個々の施設設置条例の定めに従い施設の管理を行うこととなるが、その上で、設置者である京都府は事業報告書の聴取、実地調査、必要な指示、それらを行い、必要に応じ指定の取り消し等により、施設の設置目的にそった適正かつ安定した運用を確保する」と答弁している)
F指定管理者による「公の施設」の管理は、地方自治法上の兼業禁止の規定は適用されないことから、指定の公正を期するため、「知事・副知事・出納長及び府議会議員、その家族等が経営・出資する会社は、指定管理者の申請ができない」こと。

  ◆指定管理者の指定は行政処分であり、法律上は兼業禁止については適用がないとされているが、指定管理者選定の過程、府議会の議決という透明で公正な手続きをとることで対応。

G当該各施設に利用者運営委員会を設置するよう規定すること。

 ◆現在もいろいろ工夫をして実施してもらっている。府民の代表である府議会の議決を得ることにもなっている。

H指定管理者の選考・指定の審議にあたっては、住民及び利用者の意見を聴取すること。

  ◆府民の代表である府議会の議決を得ることにもなっている。 
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