「フリーター」「ニート」「格差社会」「ワーキング・プア」…日本の貧困化を表す言葉が次々と生まれています。日雇い派遣などで働いても低賃金のため家賃が払えず、インターネットカフェで寝泊りする「ネットカフェ難民」、さらに安い24時間営業のファーストフード店でコーヒー一杯で夜を過ごす「マック難民」など、青年の貧困層の存在が国会でも取り上げられ、「隠れたホームレス」の急増と指摘されています。

 京都総評青年部では、青年の安定した雇用や自立できる賃金を求めて、「最低賃金」の引き上げを訴えるため、今年も4回目となる「最賃生活体験」にとりくみます。この運動には3年間でのべ185人の青年が参加し、毎年引き上げの成果を勝ちとっています。都道府県ごとに決められる最賃は京都府の場合、時給686円。フルタイムで働いても11万円前後、これでは自立した生活はできません。

 労働総研は厚生労働省の統計から、現在時給1000円未満で働いている労働者は約683万人と算出。もし最賃を時給1000円に一律に引き上げたら、消費の拡大によって国内の生産額が年間約2兆6000億円増えると試算しました。最賃引き上げは中小企業の経営に打撃を与えるとされていますが、「消費拡大の効果はむしろ中小企業に顕著に表われ、利点は大きい」と分析しています。

 今年のとりくみでは、「福祉の職場では、正職員でも時給換算すると920円にしかならない」「自治体関連の職場でも、青年が時給700円で働いている」「収入が増えないのに6月から定率減税の廃止で負担は増えるばかり」など職場の現状も出し合い、時給1000円への最賃の引き上げに意気込んでいます。
 今年、32年ぶりに行われる「最賃法」改正では、フルタイムで働いても生活保護水準を下回っている矛盾を改善するため、「生活保護との整合性に配慮する」ことが答申されています。一方で、老齢・母子加算の削減など生活保護自体の引き下げもあり、実効ある最賃法改正を求める大きな運動が必要です。

 京都総評青年部の「最賃生活体験」は6月1日〜30日の一ヵ月間。5月18日まで体験者を募集しています。現在の京都府の最賃額でフルタイム働いたと想定し、税金や社会保険料、家賃、光熱費などを除いた金額で1ヵ月間の生活をやりくりします。体験の記録を労働局に届けたり、市民やマイコミなどへ大きくアピールしていく予定です。    
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