「元気な職場」「元気な地域づくり」を

佐井府職労委員長の第82回定期大会でのあいさつ

 1946年11月2日に、京都府職員労働組合は誕生しました。翌11月3日に日本国憲法が公布されました。府職労は、憲法とともに生まれ、憲法とともに歩んできた歴史を持っています。
 その60年という節目の年に、政権公約の筆頭に憲法「改定」を掲げる安倍内閣がスタートしました。5年をメドに改憲をすすめるとし、国会で3分の2の合意が得られれば、その前倒しもあり得るとさえ言っています。

格差と貧困を広げた「構造改革」ストップを

 教育基本法についても、「占領時代の残滓」として、敵視し、臨時国会の最重要法案として成立をねらっています。構造改革については、「再チャレンジ」を掲げて、国民の批判をかわそうとしていますが、実態はアメリカと財界の要求に応えて、国民にいっそうの痛みと格差の拡大を押しつけるものです。
 安倍氏は、侵略戦争を美化し、靖国神社参拝の要求、慰安婦問題や歴史教科書問題でも反動的役割を発揮してきた、超タカ派の人物です。そのことは、必ず国内外で矛盾を激化させ、最大のアキレス腱になると思います。海外のメディアが次々と危険性を指摘し、国内のメディアも政権の不安を指摘しています。
 小泉構造改革によって、大企業が3年連続で史上最高の利益を更新し、富裕層が一層豊かになっています。一方で、社会の格差が急速に拡大し、国民の生活困窮が広がっています。こうした流れに国民の批判が強まり、この間の一連の選挙で自民党系候補が敗北するという結果にあらわれています。安倍政権は、社会保障の改悪や増税などをすすめようとしていますが、国民との矛盾は必ず拡大します。
 教育基本法改悪法案、改憲手続き法案などの悪法を阻止するために、全力を尽くすとともに、格差と貧困を広げた「構造改革」へ、国民的な反撃を強めたいと思います。

地方自治を破壊する「道州制」許さない世論を

 さて、憲法は、来年5月3日に施行60周年を迎えます。戦争につきすすんだの痛苦の経験と多大な犠牲のうえにたって、憲法は第8章で地方自治を謳っています。憲法と地方自治法は施行日を同じくして、同じあゆみを続けています。
安倍政権は、その地方自治を根底から破壊する「道州制」をすすめる内閣であるということも、都道府県に働く労働者、労働組合として、肝に銘じてたたかわねばなりません。
 所信表明では「本格的な導入にむけた『道州制ビジョン』の策定など行政全体のグランドデザインを描く」と明言し、行政改革の特命大臣に、初めて、道州制担当と銘打った大臣を配置する異例の体制です。臨時国会では、「道州制特区推進法案」の成立をねらっています。この法案は、北海道だけではなしに、全国どこでも「3以上の都府県」の合併を条件にするものへと、性格が変えられています。佐田道州制担当大臣は、この法案を「まず早く通す」と発言しています。
 そして、3年間の時限立法として、「新地方分権推進法案」を今国会に提出し、道州制担当大臣のもとに設置する「懇談会」で議論し、2010年には「地方分権改革一括法案」を、国会に提出するという急テンポの流れです。
 道州制は、「広域自治体のあり方を見直すことによって、国と地方の双方の政府を再構築しようとするもの」(06・2月 地方制度調査会 道州制のあり方に関する答申)であり、単なる都道府県の合併や再編ではなく、それをテコに国のあり方と市町村の大再編を行おうというもので、戦後最大の大改編です。
 現行の都道府県は広域自治体として、福祉・教育など住民の暮らしに関わる多くの仕事をおこなっています。この都府県を廃止して、国の出先機関と省庁の仕事の一定部分を持ってきて、5〜10程度の道州をつくるというものです。一方、市町村は、全国300程度にもう一度再編し直し、そこで現在の都道府県の仕事の多くをすすめます。新しい道州の職員には、都道府県の職員がなるのではなく、国の省庁の地方支分部局が母体になる方法だと言われています。今の都道府県組織と職員は相当なリストラをしなければならないと言われています。 道州制は、「住民の福祉の増進を図る」という、都道府県の役割を失わせ、住民を自治体から遠ざけるものです。住民にとっては、身近な市町村がなくなり、府県が道州へとさらに遠ざかり、地域と住民に密着したサービスが完全に切りすてられます。
 道州制を一律に導入しようとすれば、住民の同意、府県議会、知事の合意を得なければならないと言う大変な矛盾と大きなハードルがあります。確かに、山田知事のように推進派もいますが、兵庫県知事のように「今以上に大きな道州が、自治体であるかといわれても実感がわかない」など、少なくない知事からも批判がでています。
 あらためて、都道府県は本来「住民の福祉の増進を図る」広域自治体であることを示して、その都道府県を廃止して、住民からより遠ざける道州制を許さないための批判の世論づくりと運動を強めていきたいと思います。

 さて、京都府政は、国・総務省への追随をいっそう強めています。財政難と効率的運営を理由に、「官から民へ」の手法、独立行政法人化や事業仕分けなどを強引にすすめようとしています。府民の税金が基本的な財源であるからには、効率性の追求は当然のことです。しかし、財政健全化や効率的運営というのは、行政の使命、目的そのものではありません。地方自治体の使命は、住民の福祉の増進をはかることです。行政改革というのであれば、住民の福祉がどうなるのかという観点が何よりも重要なはずです。それなのに、自治体本来の使命を放棄して、経費節減、効率性を目的化すれば、住民の安全や命、暮らしが犠牲になります。「住民の安全と命、暮らしを最優先にするのか、それをないがしろにして、経費節減、効率性を優先させるのか」を、正面から京都府に問いかける運動を強めたいと思います。
 住民の暮らしを守る組織としての京都府の役割と責任を否定し、住民の要求に背を向け、職員の働きがいを奪う、こうした手法を許さないとりくみを、府民のみなさんとともに、府職労全体としてとりくんでまいりたいと思います。

年末確定勝利へ全員学習、全員行動を

 さて、いよいよ年末確定闘争です。昨日不当な人事院勧告、ゼロ勧告の閣議決定が行われました。12日に出された府人事委員会勧告に基づく今年の給与改定と、給与構造改革の持ちこし事項の査定昇給、昇任・昇格基準、新たな評価制度など、府職労がつくりあげてきた賃金闘争の基本「団結して仕事ができる基礎的条件づくり」が問われることになります。それだけに、従来にもまして、全員学習、全員行動の大きな運動を強めていきたいと思います。
 そして、来春闘では、府職労の最も大事にしています「労働組合は要求で団結する」という原点に基づき、「職場要求づくり運動」をすすめたいと考えています。府職労のあらゆる組織で、賃金・権利から仕事の問題まで、切実で豊かな要求づくりをすすめて、新たな前進をめざしたいと思います。
 来春闘は、いっせい地方選挙の中でのたたかいです。そして、7月には参院選挙があります。憲法9条をはじめ、改憲をおこない、道州制導入を推進していくのか、あるいは、一人ひとりの人間や、一つ一つの地域が大事にされる持続可能な地域、日本をつくるのかが問われます。地方政治でも、国政でも、主権者は住民です。2つの選挙をその主権を発揮する重要な機会として力を尽くそうではありませんか。

 最後に、あらためて「元気な職場づくり」「元気な地域づくり」をすすめる府職労の組織強化と組織拡大について呼びかけます。府庁に働くすべての労働者を視野に入れ、府職労の運動と組織を大きく広げ、「職場と地域に見えて頼れる府職労」をつくりあげようではありませんか。そのことを訴えまして開会のあいさつといたします。

トップへ