憲法9条かえないで

京都の女性たちのアピール

瀬戸内寂聴さんや湯川スミさんなど17人(第一次)

 2004年10月3日、作家の瀬戸内寂聴さんが「京都新聞・天眼」に憲法九条に寄せる思いをつづりました。
 「憲法を守る婦人の会」は、昨年12月8日の太平洋戦争勃発の日に毎年開催している「戦争反対婦人のつどい」で、「憲法九条を守りましょう」との女性アピールを出そうと賛同者をつのってきました。このアピールは、瀬戸内寂聴さんの「九条へ寄せる思い」に賛同するというものです。 この呼びかけには、世界連邦運動名誉会長の湯川スミさんや絵本作家の永田萌さんら17人が賛同、アピールを発表しました。
 瀬戸内寂聴さんの憲法九条に寄せる思いは次の文章です。

 東北の天台寺で、私は毎月法話を行っている。
 青空説法だが、全国から数千人の人々が集ってくれる。
 先月、時間も終わりになった頃、私の足許で声がした。
 「これからの日本はどうなっていくのでしょうか」 見れば、にきびの出はじめた童顔の少年である。中学3年生だという。かねがね私は、このままでは日本は滅びへの道を一目散に疾走しているとしか思えないと、内心はらはらしている。しかし、こんな前途のある少年に向かって、そんなことをうかつに言えるものではない。
 「あなたは何が心配で、日本の将来のことを考えているの」と訊いてみた。「このままでいけば、憲法が改定され、9条がなくなりそうです。すると、僕は戦争に征かされそうです。それはいやです。日本はどうなるのでしょう」私がことばを返す前に聴衆から、大きな拍手が爆発的に湧き起った。私は感動で泣き出しそうになるのをこらえ、少年に言った。
 「あなたが戦争に行きたくないと思えば、いやだと胸をはって言いなさい。まだ日本の憲法は生きています。9条は生きています。でも、あなたの不安は正しいのです。いま、日本の政治の方向は、今の戦争放棄の憲法を捨て、戦争のできる憲法に改定しようとしています。2005年を目処に改定案を出すといっているし、野党もそれに賛成している党もあるのです。あなたはなぜ、戦争に行きたくないの」
 「死にたくないから。だってぼく、やりたいことが一杯あるんです」
 「それじゃ、憲法が改定されないよう戦いましょう。一緒にがんばろうね」
 また万雷の拍手が湧き、山にひびき渡った。 
                         瀬戸内寂聴「京都新聞・天眼より」

     アピール賛同者とメッセージ

 「女性たちのアピール」賛同者は次の方たちです。
 湯川スミ(世界連邦運動名誉会長)
 「国際会議のあるごとに『日本は平和憲法を持っています』と話しますと、『自分の国にもお手本として持つように、国に帰ったら努力します』と、言って下さいます。日本がぐらぐらとしては困ります。今こそ世界中が平和でありますように声を大きく広げましょう。
 石井麻子(ニットデザイナー)
 岡部伊都子(随筆家)
 鎌田論珠(ノートルダム修道女会)
 久米弘子(弁護士)
 鈴木雅恵(京都産業大学外国語学部助教授)
 黒木順子(憲法署名実行委員会共同代表)
 寿岳章子(国語学者)
 末川千穂子
 鶴見和子(上智大学名誉教授)
 信楽香仁(鞍馬寺貫主)「天下太平 四海静謐 万民和楽を祈念しております」
 永田 萌(絵本作家)
 「戦争の悲劇を二度とくり返してはいけないと教えられて育ちました。それを次の世代に伝えなくてはと思っています。平和力こそ日本の生きる道です!」
 西川千麗(日本舞踏家) 「与謝野晶子の『君死に給ふことなかれ』。誰もが、自分を愛する人に対して思ふこと。それを守る憲法を皆の力で守りましょう」
 人見ジュン子(ギャラリーヒルゲート)
 「人の生命も心も、文化や芸術も破壊する戦争には絶対反対です。またしても、侵略の加害者になることは許してはならないと思います」
 ひらのりょうこ(詩人) 「若い世代へ残す宝物9条」
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