公務職場になじまない 人事評価システム

京都府で1月から管理職中心に試行導入

拙速な実施に管理職からも疑問と不安の声

 昨年12月21日、当局は府職労に対し京都府が考えている「新たな人事評価システム(素案)」の内容について説明するとともに、本庁の管理職を対象に1月中に模擬評価を実施することを明らかにしました。しかし、現行評価システムについての評価や課題、問題点がどこにあるのか何も明らかにされておらず、なぜ今回新たな人事評価システムを導入する必要があるのかがいっさい説明されていません。管理職も含め職場からは不満と不安の声が上がっています。

 あまりに説明不十分なもとでの実施

 評価結果を何に活用するのかについても、その具体的活用方法が明らかにされていません。また、公平性・客観性・透明性・納得性を備えた公務にふさわしい評価基準・評価方法・評価手続き等も明らかにされていません。
 さらに、拙速な実施には職場から疑問の声が上がっています。新たな評価システムをわずか1月という短期間で、本庁の管理職だけで検証すること事態が極めて乱暴といえます。にもかかわらず当局は模擬評価を強行的に実施しようとしています。これを強引に押し進めようとするのは今後評価対象を一般職員に拡大するなど次のステップに進むための「実績」づくりではないかと懸念せざるを得ません。

 民間であいつぐ失敗のなか、なぜいま公務の職場に

 昨年末に府職労がとりくんだ職場アンケートでは、「成果主義」賃金について、「評価を公正にできるか疑問」とする声をはじめとしてこれに否定的な意見が多数を占めました。
 本来、公務職場は「全体の奉仕者」である公務員がそれぞれの専門性と特性を発揮しながら組織的に運営されるべきものです。
 公務に先んじて90年代後半から民間企業に導入された能力・成果主義賃金は、あくまで総人件費抑制と労働者のインセンティブを高めることを目的とした制度であったゆえに、相対評価が労働者の不満を増幅し職場のモラルハザードを招く結果となりました。そして、最近では能力・成果主義賃金制度が破綻したとしてこれを見直す動きが急速に広がっています。

 「全体の奉仕者」としての組織的な職場運営に資する制度を

 民間企業の人事評価制度は効率優先・利益優先ですが、公務職場における人事評価制度は「全体の奉仕者」としての公務の民主・公正・効率的な運営に資するものでなければなりません。すべての職員が学歴や性、年齢などに関わりなく、各自の能力や適性をいかしながら職務を遂行し、適正で安定的な労働条件のもと安んじて公務に専念できる民主的な人事制度の確立こそが求められています。
 京都府が今回考えている「新たな人事評価システム」の詳細は明らかにされていませんが、「評価」そのものが府職員の「働き方」に関わる重大な問題であることから府職労は24日、当局に対し「新たな人事評価システム(素案)」についての要求申入書(※下記)を提出しました。
   
   新たな人事評価システム(素案)」についての 要求申入書

1 「評価」制度には基本的に反対であり、「新たな人事評価システム」は導入しないこと。
2 仮に導入する場合であっても「新たな人事評価システム」は勤務条件に関わる重大な問題であり、労使交渉事項である。したがって、その実施にあたっては府職労との交渉と労使合意を前提とすること。また、交渉の中で最低限以下の点を明らかにすること。
 @現行評価システムについての評価や課題、問題点
 A「新たな人事評価システム」を導入する必要性
 B評価結果の具体的活用方法
 C公平性・客観性・透明性・納得性を備えた公務にふさわしい評価基準・評価方法・評価手続き等
3 職員間に基本的合意が形成されていない現段階での「模擬評価」は直ちに中止すること。
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