テロ対策理由に「危機管理」の「合同訓練」

舞鶴海上保安部・西舞鶴所・府港湾事務所などが西舞鶴港で

外国船の着岸埠頭に高いフェンスと有刺鉄線

テロリスト進入想定し「合同訓練」

 「舞鶴港でのテロ対策」の目的で7月14日、舞鶴港第2埠頭で舞鶴海上保安部や京都府警、府港湾事務所などが「合同訓練」を行いました。
 訓練は、舞鶴港第2埠頭に係留中の外国船にテロリスト3人が乗っているという情報をもとに「港湾危機管理コアメンバー」(舞鶴海上保安部や府港湾事務所、入管、税関、西舞鶴署などで構成)が緊急協議し、合同で対処するというもの。府港湾事務所からは約3分の1の職員が参加しました。
 11時から開始された訓練では、テロリストが乗っている外国船に向け西舞鶴署のパトカーが急行、海上保安庁の巡視船艇4隻も出動し、外国船を取り囲みました。
 巡視船艇からは、潜水士が飛び込み、船底の爆発物の有無など捜査、同時に保安部の機動隊が船内に突入、2人を逮捕、1人が逃走し警察が追跡し逮捕。
 府港湾事務所の職員は、現場に船舶が近づかないように誘導したり、埠頭への出入りをチェック、現場付近の荷役労働者などを避難させる役割を担いました。
 この「合同訓練」を「有事」を想定したものに置き換えると、ここに自衛隊が参加、その中心になるのでしょう。

「危機管理」意識の高揚ねらいすでに研修が

 「午前8時10分現在、職員の参集状況は90%」「県庁の組織を有事の体制にすべて移行」「自衛隊は国道○○を利用して潜入した敵を排除」「前線へ出動する自衛隊の部隊と避難する住民の車両が交錯しないよう交通規制」
 これは昨年10月、鳥取県・内閣官房・消防庁主催で「その時、われわれ地方自治体は…国民保護法と地方自治体の準備」をテーマに実施された「第1回国民保護フォーラム」のシナリオです。
 舞鶴港での「合同訓練」のマニュアルとよく似ています。
 舞鶴での訓練は、予行演習を含めると3回実施されています。今年の5月からは、港湾管理者を対象にして、3ヶ月に1回の研修が国の召集で行われています。
 「テロ」「有事」を想定した訓練が今後、住民の参加や町内会での実施へすすむことも予想されます。まるで戦前の国家総動員法で住民が「訓練」に動員されていったのを思い起こすのは間違っているでしょうか。

すでに舞鶴港は「危機管理体制」に

 いま舞鶴港の外国船が停泊する区域に、一般住民が立ち入る場合、身分を証明するものが必要です。気軽に魚釣りに出入りしていた人たちもそのたびに身分証明書を提示しなければならなくなりました。
 港湾区域の一部にはフェンスが建設され有刺鉄線がはりめぐらされています。すでに監視ゲートが設置され警備保障会社が入港者をチェックしています。ゲートには365日、監視カメラが設置されています。
 いま張られているフェンスは、外国船が入港する埠頭全域に拡大される模様です。そのための予算が8億2千万円。
 京都府は今年5月、大規模災害、テロ、有事などの緊急事態にすばやく対処するため、指揮・命令系統を一元化した知事直轄の「危機管理監」を新設しました。国会では「有事関連法」が成立。
 「有事」「テロ」という名のもとに繰り返される「訓練」、そこに動員される職員の意識はどう変化していくのでしょうか。住民への奉仕という自治体職員の役割から住民管理・住民監視の方向に意識「改革」されていくのでは…危惧するのは考えすぎでしょうか。