すべてを「危機管理」の名のもとに

山田知事が強める危険な体制づくり

 武力攻撃事態」対応の体制づくり

 山田知事は「危機管理」ということばによほど執着があるのでしょうか。様々なあいさつ、講演などでの多用が目立ちます。昨年、京都府広報課が作成した知事売り出しの「豪華パンフ」(「『府民発・府民参画・府民協働の府政をめざして』」)では、鳥インフルエンザ、SARS、コイヘルペス病、BSE、豪雨などを例にあげ、「常在戦場、常に戦場に在りという気持ちで危機管理にあたらなければならない」と述べています。
 問題は「危機」の中身です。内閣法制局参事官として「日米新ガイドライン」作成に参画、現在も全国知事会の危機管理研究会の一員という経歴が影響しているのでしょうか、山田知事の意図する「危機」が有事(戦争)問題にあると思われる動きが目立ちます。
 昨年5月、「テロ攻撃」や「武力攻撃事態」をはじめとする「有事」などへの対処を目的に知事直轄の「危機管理監」を新設。防衛計画立案や実践部隊指揮の経験がある陸上自衛隊の幹部を危機管理担当の参事として採用しました。「自衛隊との調整役や武力攻撃事態の被害想定などの専門知識をもとにした市町村への指導を担ってもらう」(「朝日」04年6月7日)というのが知事の考えです。

 府民にとっての真の安心・安全を 

 こうした態度は、たとえば大阪府の太田知事が「自衛隊との連携は必要だが、住民を避難させる自治体と国を守る自衛隊とは役割が違う」(「朝日」04年6月7日)と語っていることと比較すれば、その違いは明らかです。
 昨年1月に京都府は京都市と「武力攻撃災害」も含む「消防協定」を締結。5月以降「テロ対策」の想定訓練が相次ぎました。
 山田知事は、「犯罪」も「災害」も「鳥インフルエンザ」も「有事」も、すべてを「危機」のことばでひとくくりにして対応しようしています。それどころか、知事がすすめる「危機管理」は、災害や食の安全対策よりも「テロ対策」や「戦争対応」に比重がかかっており、その最大のねらいが国が推しすすめている「国民を戦争に協力させる意識づくり」の先取りにある、といったら言い過ぎでしょうか。いま府民にとっての真の安心・安全とは何かが問われています。
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