地方財政計画・地方交付税等の
見直しの意見書採択を求める
陳情書



府議会議長に提出


 
 日頃は、府民を代表する府議会の議長として、府民本位の府政推進に昼夜を問わず努力していただいていることに心から敬意を表します。
 さて、政府が進める「三位一体改革」は、公立保育所運営費などの国庫補助負担金削減を皮切りに、地方交付税等の削減へと急速に進んでいます。なかでも地方交付税と臨時財政対策債の削減(前年より2.9兆円、12パーセント減)は、自治体の予算編成に大きな影響を及ぼし、予算が組めないという声が全国的に出されています。
 私たちは2004年度の地方財政計画が、意図的ともいえるやり方で地方交付税と臨時財政対策債が圧縮されたことについて、大きな憤りを持っています。これは、政府の「骨太方針2003」によって「地方交付税については、地方財政計画の歳出見直しと財源保障機能の縮小によって、地方交付税への依存を低下」とした方針を、財務省の主導で強引に推し進めた結果です。
 私たちは以下の点で、今回の措置は極めて不当であると考えます。
 第一に、その手続の問題です。今回の地方財政計画の策定にあたり、当事者である都道府県・市町村とまともな協議抜きに、一方的に押し付けました。特に地方財政計画における地方交付税・臨時財政対策債等の削減は、まったく抜き打ちのものであり、自治体は予定した予算が組めないと大混乱に陥っています。これは地方分権の趣旨にまつまでもなく、極めて乱暴な対応といわなければなりません。
 第二は、法で規定された原理原則に反するということです。憲法は、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し(第94条)」とうたい、それを達成するために地方交付税法は「その財源の均衡化を図り、及び地方交付税の交付の基準の設定を通じて地方行政の計画的な運営を保障する(第1条)」としています。今回の国のやり方は、憲法及び地方交付税法を踏みにじり、「計画的な運営」を阻害するものです。また国が法律等により定めた行政水準を、地方が維持確保していく現在の地方制度を前提とすれば、その財源を保障するのは当然のことです。
 第三は、本来地方交付税が持っている意味をねじ曲げていることです。地方交付税は、「標準的条件を備えた地方公共団体が合理的、かつ、妥当な水準において地方行政を行う場合又は標準的な施設を維持する場合に要する経費を基準(地方交付税法第2条)」とされ、本来地方の実勢を反映させたものとなければならないものであるのに対して、今回のものは削減された数値を前提とすることによって、人件費や公共事業などにおいて国の意図する政策を地方に押し付けたものとなっています。地方財政法の、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない(第2条)」という地方財政運営の基本に反するものです。今回の措置は、国の借金を地方に押し付けた上で、合理化・リストラを迫るやり方です。
 第四には、地方分権の趣旨に反するということです。もともとの地方分権改革の趣旨に沿った改革は、国の関与を減らし、地方に財源を移譲し、地方が地域の実情に沿ってより自主的に地方行政を行うことにあるはずです。しかし政府が進める「改革」の流れでは、地方の財源を大幅に圧縮し、行政の水準を大きく低下させ、結果として地方に行政選択そのものをなくするものです。
 こうした状況をかんがみ、以下の趣旨で地方交付税等の削減に反対するとともに、地方財政計画を見直すよう、貴議会が地方自治法第99条にもとづいて国に対し意見書を提出していただくよう陳情します。

                 記

1 平成16年度地方財政計画を見直すともに、地方交付税・臨時財政対策債の削減をや め、地方公共団体の財源を保障すること。

2 三位一体改革については、地方公共団体と十分な協議を行い、基幹税を移譲するとと もに、地方交付税の財源調整機能及び財源保障機能を維持・充実すること。

2004年3月1日

 京都府議会議長 田坂幾太 様
                          京都府職員労働組合
                           執行委員長 佐井 惇