真の地方分権のための「地方一揆」を

全国知事会など地方6団体が1万人決起集会

 日本武道館の正面玄関脇で「住民サービスを削る地方交付税の削減反対!」の横断幕を掲げて自治労連が激励の宣伝行動をおこなうなか、全国から知事・市町村長・議員が続々と到着。地方6団体が主催する「真の三位一体改革実現のための1万人集会−地方分権推進総決起集会」が、11月17日14時から開かれました。 主催者を代表して、全国知事会会長の梶原岐阜県知事が「平成16年度に不意打ちで2.9兆円と大幅に削減された地方交付税を、さらに平成17・18年度において7.8兆円削減しようとする驚くべき提案がなされました。…われわれ自治体は地域住民の生活を守るため、意に反しても国と闘わざるを得ない状況に追い込まれております。…このような地方軽視、地方無視、地方蔑視、地方差別ともいうべき姿勢に対しては、断固として起ち上がり、『地方一揆』の実行を宣言したいと思います」(大きな拍手・歓声)と挨拶。
 小泉首相の代理として登壇した山崎官房副長官は、野次と怒号のなかで「地方六団体の改革案を真摯に受け止め検討を加えている、三位一体の改革の全体像を年内に決定したい」というメッセージを代読しました。
 その後、「地方分権改革の推進に関する緊急決議」(補助金改革と税源移譲の一体的・確実な実施、地方交付税による確実な財源措置、国庫負担率の引き下げ等負担転嫁の排除、国による関与・規制の見直し、など)、地方分権推進連盟の設立(地方六団体代表で構成)を満場一致で採択し、「がんばろう!」を唱和し、終了しました。
(自治労連速報より)

地方分権改革の推進に関する緊急決議

 我々地方六団体は、政府の要請に応え「小異を捨て大同につく」という観点に立ち、一致結束して「国庫補助負担金等に関する改革案」を取りまとめた。
 我々が進めている地方分権改革の推進は、過度に中央に集中している権限・財源を、情報公開・住民参加が進んでいる地方公共団体に移し、地域二−ズに応じた、多様で透明性の高い住民サービスが提供できる体制を確立するとともに、全体として国と地方を通じての行財政のスリム化を図ることにつながるものである。
 地方改革案提出後、10月28日、所管府省が内閣官房等に提出した代替案の内容は、現行の国庫補助負担金を維持するゼロ回答、交付金化、補助率の引下げといった、地方改革案とは程遠い内容となっている。
 また、「国と地方の協議の場」での協議の過程では、地方交付税等を7.8兆円も削減するという国と地方の信頼関係を根本から覆すような提案が示されている。これは、平成16年度に地方交付税等が2.9兆円も削減され、地方の予算編成は大混乱し危機的な状況に陥らせたことへの反省もなく、地方財政の実態を理解しない一方的なもので、断固応じ得ないものである。
 よって、政府においては、11月半ばを目途に取りまとめることとしている三位一体改革の全体像に地方改革案を確実に盛り込むとともに、真の地方分権改革の推進を図るため下記事項を実現するよう強く要請する。
                     記一 
 補助金改革と説源移譲の一体的、確実な実施(一)地方六団体の改革案を真摯に受け止め、国庫補助負担金の廃止(3.2兆円)と概ね3兆円規模の確実な税源移譲を一体的に実施すること。(二)平成16年度に措置された所得譲与税と税源移譲予定特例交付金(総額約6,500億円)は、3兆円とは別枠で実施すること。(三)平成18年度までに、基幹税である所得税から個人住民税への移譲を確実に実施すること。二 地方交付税による確実な財源措置(一)地方交付税は、地方の固有財源であり、一部で主張されているような地方交付税等の大幅な削減は、国と地方の信頼関係を著しく損なうものであり、地方財政運営や住民サービスに重大な支障をきたすことから断じて容認できないこと。 特に、地方財政計画歳出と決算の乖離については、投資的経費と経常的経費を一体的に全体として乖離の是正を検討すべきであり、一方的な削減は絶対に認められないこと。(二)税源移譲に伴い財政力格差が拡大するので、地方交付税の財源調整、財源保障を強化して対応する必要があり、地方財政全体としても、個別の地方公共団体においても、地方交付税の所要額を必ず確保すること。(三)税源移譲が行われても、移譲額が国庫補助負担金廃止に伴い財源措置すべき額に満たない地方公共団体に対しては、地方交付税の算定等を通じて確実に財源措置を行うこと。(四)所得税から個人住民税への税源移譲に伴う地方交付税の法定率分の減少額については、交付税率の引上げにより確保すること。三 国庫補助負担率の引下げ等負担転嫁の排除(一)生活保護費や児童扶養手当の給付に係る国庫負担率の引き下げや、国民健康保険に係る国庫負担率を引き下げて新たに都道府県に負担させることは、三位一体の改革とは無関係の単なる地方への負担転嫁であり、絶対に行うべきでないこと。(二)複数の補助金の統合や交付金化は、国に権限と財源を残し、税源移譲にもつながらないものであり、認められないこと。(三)公共事業については、国債を財源としていても、その償還は国税で賄われていることに鑑み、例外なく、移譲対象補助金について、確実に税源移譲を実施すること。また、廃棄物処理施設、公立学校施設、社会福祉施設、公営住宅等の施設整備事業については、その全額を税源移譲すること。四 国による関与・規制の見直し 地方の自由度を高め自主性を大幅に拡大するため、国庫補助負担金改革に併せて、国による地方自治への関与・規制の撤廃に取り組むこと。五 地方六団体との継続的な協議の実施 三位一体の改革に関する政府案の決定に当たっては、「国と地方の協議の場」において協議の上、地方六団体の意見を十分反映したものとすること。また、地方交付税や地方財政計画の改革に当たっては、地方六団体の代表が出席する場において協議すること。六 第2期改革の必要性 平成19年度以降も改革を迅速かつ着実に実施していく必要があるため、第2期改革の必要性及びその具体的な内容を早期に明らかにすること。
 以上、決議する。
平成16年11月17日地方自治確立対策協議会 全国知事会 全国都道府県議会議長会 全国市長会 全国市議会議長会 全国町村会 全国町村議会議長会