地域別最賃4年ぶりの有額目安

足を引っ張る人勧のマイナス勧告

 この夏、全国で行われている地域別最低賃金の改定審議では、ほぼ0・4%以上の引き上げが実現する見通しです。一方、公務員の賃金勧告では、給与構造見直しによって地方では5〜7%の引き下げが検討されています。賃下げ勧告が行われた場合、せっかくの最賃引き上げを台無しにしてしまうことにならないか、心配されます。
 今年の地域別最賃目安は、02年、03年、04年と続いた実質ゼロ円とは打って変わり、A・B・Cランクで時間額3円アップ、Dランクで2円アップとなりました。4年ぶりの有額目安となったのです。現在の地域別最低賃金額は、平均で時間額665円にとどまっています。目安どおりに引き上げられても、まだ670円に届かないのです。
 一般労働者の所定内賃金の36・6%の水準です。
 各都道府県の地方最低賃金審議会では、この目安額にどれだけ上積みできるかが焦点となります。地方ごとに決まった最賃額は、地場企業の賃金に影響を及ぼします。
 しかし、人事院勧告では通常の官民比較でもマイナスの可能性が大。加えて、給与構造見直しで、5〜7%の水準引き下げが検討されています。
 地方の中小・零細企業のなかには、公務員賃金の動向を参考にしているところも。結局、最賃をみるか、人勧をみるかで対応が分かれることになります。
 民間泣かせの人勧は、再考する必要があります。

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