「無礼な。たかが選手が」

巨人渡辺オーナーに発言の撤回と選手会への謝罪を要求

京都総評が「労働組合として見過ごせない」と申し入れ
 
 日本プロ野球選手会は10日、名古屋市で臨時大会を開き、大阪近鉄・オリックス両球団の合併問題への対応について協議。来シーズンの合併を凍結し、この問題を1年かけて議論するよう求めていくことや合併が強行された場合、最終手段として、ファンに十分配慮したうえでストライキを行う場合があることなどを決議しています。
 これに先立ち7月8日、プロ野球選手会の古田会長が球団側との話し合いについて「オーナーたちと話し合いたいという気持ちがある。その方が(議論が)開かれた感じがしていいのではないか」と発言。これについてコメントを求められた巨人の渡辺恒雄オーナーは「無礼な。分をわきまえないといかんたかが選手が」切り捨てました。
 京都総評は「労働組合として見過ごすわけには行かない」と渡辺オーナーに「撤回・謝罪」を求める申し入れをしました。

 

巨人の渡辺恒雄オーナーは7月8日、労働組合である日本プロ野球選手会の古田会長が、球団側との話し合いについて、「オーナーたちと話したいという気持ちがある。その方が(議論が)開かれた感じがしていいのではないか」との発言したことに関し、報道陣から質問され、「無礼なことを言うな。分をわきまえないといかん。たかが選手が」と切り捨てました。この渡辺恒雄オーナーの発言は労働組合として、以下に述べる理由で絶対に見逃すことができません。

見逃すことのできない理由の第1は、渡辺恒雄オーナーは使用者側として、実質上重大な権限を持っていることは周知のところであり、東京都労働委員会が認定した明確な労働組合である日本プロ野球選手会の代表が「あいたいと要望」していることに、報道陣からの質問に応えるかたちであっても、それを拒否することは不当労働行為を禁止した労働組合法を無視するものであるからです。第2の理由は、「無礼」「分をわきまえない」「たかが選手が」という言葉は、選手や労働者を家来と見る時代錯誤の封建的身分差別の発想そのもので、許されない差別発言であるからです。第3の理由は、渡辺恒雄氏は巨人のオーナーというだけでなく、「社会の木鐸」といわれる重大な社会的影響力と公共的な性格を持つマスコミのトップに君臨し、政財界にも大きな影響力を持つ存在だからです。そしてその発言と姿勢は、今日の日本財界・経営者の勤労者への人間性や生活を顧みることなく「リストラ・首切り」を平然とおこなう、驕りの体質が如実に示されているといわなければなりません。この渡辺発言に対し、星野仙一氏が「許すわけにはいかない」と語るなど、各界から厳しい批判が出ているのは当然です。渡辺発言は当該の労使間にとどまらず、社会と労働者全体の課題にかかわる問題です。

京都の労働者・労働組合のセンターである京都総評は、以上の考えを明らかにすると共に渡辺発言に対し強く抗議し、下記の点申し入れるものです。

1.  発言を撤回し、謝罪すること。

2.  選手会との真摯な話し合いを実行すべきであること。

                                          以上