給与費プログラム PART2

職員定数削減はもう限界なのに

このうえに「全国最大規模の定数削減」がされたら

「毎日深夜しか帰らない息子」家族の悲痛な訴え

 「子どもが京都府に勤めています。毎日深夜にしか帰りません。過労で健康をこわさないか心配です。仕事が忙しいのであれば人を増やしてください。これでは、家庭生活をきづくこともできません。私たちも何もしてやれず、ただ待っているだけです。もし、子どもが体をこわしたり、精神が不安定になれば、警察に訴えて、知事さんに責任を取ってもらいます。覚悟してください。8時には職場を出られるようにしてください」
 切実な訴えが、3万通を超える府民アンケートの中にありました。京都府職員の親御さんからのものでした。子どものことを心配する思いが痛いように伝わってきます。


職場の実態を知ってか知らずか

 先日発表された「給与費プログラム」では、全国で初めて人件費にキャップ制度を導入、5年間で単年度の人件費総額を12・5%削減、そのために組織を簡素化し、「全国最大規模の定数削減を実現する」と誇らしげとも言える書き方で書かれています。今でも人件費の割合が全国31位と低いことを認めたうえで、新たに5年間で1、500人を削減するというのです。

正規職員が減らされた職場では…

 この間、京都府は庁内改革として2、300人の人員と120億円の給与を削減してきたとしています。その結果がどうでしょう。
 仕事は減らないわけですから、「やってもやっても仕事がおしよせてくる…」「誰かが倒れないと京都府は動いてくれないのか…」「まじめな新採職員がつぶれていく…」etc.職場から聞こえてくるのは悲鳴にも似た声です。
 長時間通勤、広域管内の出張、権限委譲等でクタクタになっている地方機関の職員。「庶務の一元化、フラット化なんて職員削減の口実に使われただけ…」本庁でも事務分掌にはない庶務的な仕事が個人の負担になったり、いくら臨時職員が入っても、正規職員にかかってくる仕事はいっこうに減らず、恒常的残業の原因になっています。メンタルな病気の人も急増しています。
 当局が「成果」としてあげている人員削減の実態は、アンケートの家族が心配されるような、職員やその家族の大きな犠牲のうえにかろうじて成り立っているものです。


組織の簡素化というのは正規職員を減らすことではない

 「給与費プログラム」では、「府民サービスを低下させることなく、内部管理事務の抜本的見直しなどで組織を簡素化する」といかにも聞こえのいいことを書いています。電子府庁の推進では約400人分の総務的業務を見直すともしています。
 ほんとうにそれで簡素で効率的な組織がつくれるのでしょうか。内部管理事務であろうが、府民サービスであろうが、組織の見直しは、現場の声・知恵が反映されてこそ効率的なものになります。トップダウンで数を減らすことだけが簡素化ではありません。過酷な超勤を減らし、人間らしい生活をとりもどすためにも、いま試されているのは現場の力です。

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