京都府の給与費プログラム

府民サービス切り捨ての「人員削減」計画

職場からも疑問の声が噴出

 年末確定にむけた労使交渉のまっただなかに、突如、知事が記者発表した“給与費プログラム”に、職場では衝撃が走りました。給与という勤務条件の根幹問題であるにもかかわらず、一方的に発表した知事のやり方は信頼関係にもかかわる問題です。さらに、人事委員会制度や議会軽視にもつながる重大問題で、公務員の人件費削減が言われるなか、全国に与える否定的な影響は図りしれません。

職員の生活をパフォーマンスの材料に使うな

 11月28日、京都府職員の間に衝撃が走りました。この日に、知事が記者会見で発表した「給与費プログラム」(「府民サービスを守るための経営改革プラン給与費プログラム・公債費プログラム」)の内容が、夕刊各紙や時事通信、インターネットのニュースで大きく報道されたからです。 「京都府、人件費に総枠 全国初 一般会計の3割程度」(読売)、「京都府、人件費に上限 10年度までに 5年で12・5%、939億円削減」(京都)、「人件費、総額で削減 京都府 全国初 5年で12・5%」などの見だしが紙面に踊りました。
 「読売」東京版では、西村衆院議員逮捕の記事を抑えてトップで報道されたこともあり、心配した都内在住の組合員から府職労本部に電話で問い合わせがあるなど、全国的にも大きな波紋が広がりました。
 職場からは「なぜ、いまこのタイミングで発表しないといけないのか」「どうして、ここまでしなければならないのか」「全国初ならば、何をやってもいいのか」「職員の生活をパフォーマンスの材料に使うな」などの不信と憤りの声が上がりました。

これが当局のいう“労使の信頼関係”か

 府職労は知事の記者発表直後に当局から説明を受けましたが、その場で「給与という勤務条件の根幹に関わる労使の協議事項にも関わらず、今年度の交渉がまだ決着していない今の段階で、一方的に発表するというやり方は、これまで築き上げてきた労使の信頼関係にかかわる問題だ」として強く抗議しました。
 また、舞鶴支部や綾部支部で抗議の申し入れ、府民労働支部や総務出納支部でも支部交渉の場で抗議を行いました。また、福知山支部や綾部支部のニュースや教育支部「おはよう」でも「給与費プログラム」に抗議する報道が行われました。北上地協は、30日の朝に府庁門前宣伝を行い、ビラを手にとった職員は食い入るように見ていました。
 府職連は、年末確定の最大の山場と位置づけて実施した11月30日の交渉の場でもこの問題をとりあげ、当局の認識を質すとともに、その姿勢を厳しく批判しました。

労働基本権にかかわる重大問題

 「給与費プログラム」は、「財政健全化への取組」のために策定したとされていますが、人件費と職員の定数削減のみを目的としたもので、職員ばかりでなく府民にも痛みを強いる「府民サービス切り捨てのプログラム」と言えるものです。
 また、「人件費総額にあらかじめ上限をはめるキャップ方式」は、職員の給与が、本来、府人事委員会勧告に基づき、労使交渉を経て条例案を府議会に諮って決められるものであることを無視したものであり、設定された上限を上回る措置が勧告されたらどうするのか、また、災害などで超勤が増えた場合、上限があるからといって労基法違反のサービス残業を強いるのかなど、労働基本権にかかわる重大な問題をもっていると言わざるを得ません。

“プログラム”は府民サービスを低下させる

 さらに、「知事部局等職員の人件費割合は、低い(全国31位)」と強調している一方で、「職員定数の大幅削減(教員・警察官を除く)」として、「知事部局等の職員定数を5年間で1500人削減する」との矛盾した目標を掲げています。
 職員長は、30日の府職連交渉において「国などと違って、京都府では既にがんばっているが、さらにがんばっていくという姿勢を対外的に明らかにしたもの」と言い放ちました。
 しかし、洛東病院の廃止や土木事務所の再編後に明らかになった台風23号での被害の事態が示しているように、府民のくらし・安全・健康・環境を守るために府政がどうあるべきかの議論なしの、削減のみを目的にしたプログラムが、府民サービスを低下させることは明らかです。
 いま求められるのは、府民のくらし・安全・健康・環境を守る京都府政の推進であり、そのために必要な組織の確立、人員の配置です。

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