府民と職員を戦争協力に駆り立てる

「国民保護法」関連3条例の廃止を

自治体要求連絡会が要求

 京都府・山田知事は二五日最終日を迎える二月府議会に、「国民保護法」関連の三条例案を提案しています。これらは、昨年小泉内閣と自・公・民などによって強行された有事関連七法案の一つである「武力攻撃事態における国民の保護のための措置に関する法律」にもとづいて、自治体における具体化の一環として条例化されるものです。アメリカが世界中で起こす戦争に日本が全面的に協力する「有事体制」の「国民の協力=管理統制」を推進するもので、私たちはこれに強く反対し、条例案を撤回することを求めるものです。

 「国民保護法」関連三条例提案

山田知事は二月定例議会に「国民保護法」関連の三つの条例を提案しました。「京都府国民保護対策本部及び京都府緊急対処事態対策本部に関する条例」「京都府国民保護協議会条例」「災害派遣手当に関する条例の一部を改正する条例」です。
同時に総合的危機対応体制推進費として650万円を来年度予算に計上しています。
「対策本部の設置」は自衛隊や警察などと連携し、都道府県及び市町村に設置されることとされています。「国民保護協議会の設置」は、京都府の「国民保護計画」を審議・策定する協議会で、「災害手当条例改正」は、国や自衛隊などからこの関連業務のために府に派遣されてきた職員に手当を支給するためのものです。

 自衛隊は国民を守らない!

「国民保護法」では、この法律は「武力攻撃事態等において・・国民の生命、身体及び財産を保護し、ならびに武力攻撃の国民生活及ぼす影響が最小となるようにする・・・国・地方公共団体の責務、国民の協力、住民の避難、避難住民の救援、武力攻撃災害への対処に関する措置」を定めるとしています。しかし、本当に住民の生命などを守るためでしょうか。
 自衛隊のトップであった元・統合幕僚会議議長栗栖弘臣氏は「自衛隊は国民の生命・財産を守るものだと誤解している人が多い。政治家やマスコミも往々この言葉を使う。
 しかし国民の生命、身体、財産を守るのは警察の使命(警察法)であって、武装集団たる自衛隊の任務ではない。自衛隊は『国の独立と平和を守る』(自衛隊法)のである。国とは・・・天皇制を中心とする・・民族、家族意識である。決して個々の国民を意味しない」(日本国防軍を創設せよ・小学館文庫)とあからさまに本音をのべています。沖縄の住民が日本の軍隊に殺された事実がこれを証明しています。
 「二〇世紀には約二億人の人々が軍隊によって殺害されている。その内約一億三千万人が自国民で、軍隊は外国人より自国民を殺している」。(神野直彦・世界別冊)「保護」「避難」とは、市街地での戦闘のための強制疎開がネライです。

 戦時体制を平時からつくるもの

 もう一つのネライは、平時から戦時体制を確立しようとするものです。アメリカ軍や自衛隊がいつでも自由に行動できるように協力する住民の体制をつくろうというものです。
 港湾や空港の使用(特定公共施設利用法)、土地・建物・診療所などの使用や取り上げなどの協力を、アメリカ軍への協力は総理大臣(米軍支援法)が、自衛隊への協力は県知事(自衛隊法)がおこなうなど、全面的な戦争協力が計画されています。「国民保護」もこの中の一環で、「訓練」もそのためにおこなうも
のです。

 強まる「反戦」敵視と思想抑圧

 この一年の間に、立川自衛隊官舎「イラク派兵反対」ビラまき、杉並公衆トイレ「反戦」落書き事件、社会保険庁職員の赤旗号外配布などで逮捕事件が続いています。共通しているのは「反戦」「イラク派兵反対」と共産党敵視の思想抑圧です。
 ピンクビラの氾濫は放置しても、「戦争反対」はすでに抑圧・排除に公然と踏み切りつつあります。
 こうした背景・情勢も考え、戦争への道の動きの一つひとつに反撃していくことが何よりも大切なことになっています。

 府は憲法の平和理念に立つ府政を
 災害対策の充実強化こそ緊急に


 今回の条例提案は、地震や水害・鳥インフルエンザなどと、テロや武力攻撃も一緒くたにして「総合的な危機管理」という立場で処理しようとしています。まったく性質の異なるものを敢えて「総合的」として、その内実は戦争協力体制の確立をめざしています。まず戦争と自然災害を明確に分けて考えねばなりません。 知事は府民も職員も丸ごとアメリカの戦争政策に協力・加担させようとしています。私たちはこうした動きに強く反対し、条例案の提案の撤回を強く求めるものです。そして憲法9条に象徴される平和理念に立った府政を推進することを強く要求します。
 また府政推進の柱の一つの「安心・安全」にとっていま必要なことは、阪神淡路大震災、新潟中越地震、福岡西沖地震と続く、逃げることの出来ない地震対策を直ちに強めること。また台風23号水害にみられるような災害をくい止め、住民の不安を取り除くために必要な河川改修や諸準備を急ぐことです。
「住民の福祉の増進を図ることを基本とする」自
治体の本来の任務を全うするために、知事・議会・職員・府民が一丸となって立ち向かっていくことがいまこそ求められているのではないでしょうか。私たちもそのために全力を挙げるものです。
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