日米共同作戦に自治体職員も参加

国民党票条例制定で権利剥奪も

 来年2月の図上作戦に自治体職員の参加計画つくる自衛隊

 自治体職員の戦争協力を強要する国民保護法の基本指針が、3月に閣議決定されました。都道府県には2006年度中に、市町村には2007年度中に、「国民保護計画」を策定することを義務づけるとともに、「平時」から「有事」を想定した、「図上訓練」や「避難訓練」の実行を各自治体に求めています。消防庁に国民保護室を設置し、「自然災害」に「テロ」や「戦争災害」をリンクさせた「国民保護」計画の作成を自治体に迫ってきています。
 マスコミ報道によると、この「基本指針」を受けて陸上自衛隊が、来年2月に熊本で行われる日米図上演習に九州・沖縄8県の危機管理担当官を「参加させる検討に入った」ようです。 「図上演習とはいえ、戦闘を目的とする自衛隊の訓練に地方自治体が参加するのははじめて」です。演習では、弾道ミサイル攻撃など具体的な有事を想定し、避難訓練や救援方法を検証するとの報道。住民の避難や市街地での住民の移動を制限する訓練に参加することも想定してようです。
 
 国民投票運動への参加禁止・罰則も検討

 この図上演習は1982年からはじめられ約6000人が参加している日米共同演習で多様な日本有事を想定した大規模な訓練です。 自治体職員をアメリカの戦争に組み込む動きとともに憲法を改悪するための「国民投票条例」の今国会への提出が危惧され、自治体職員の政治活動が剥奪される危機が迫っています。 衆・参両院の憲法調査会は現在、「最終報告書」のまとめを行っています。自民党、公明党と民主党はこれまで、「日本国憲法を広範かつ総合的に調査する」ことを目的に5年を目途に設置されたこの調査会を、本来の役割を踏み越えて、改憲論議に収れんさせる方向への恣意的運営を進めてきています。衆院憲法調査会の幹事懇談会で示された「報告書素案」では、「今後の憲法議論等」などという論点をおき、「常設機関の設置」や国民投票法案などの「憲法改正手続法の整備」が明記されています。この間、民主党の枝野幸男・党憲法調査会会長は、自・公と国民投票法の協議機関を設置することに応じ、今国会での提出に大きく道を開きました。
 一方、政府・与党の国民投票法骨子(案)にたいして日弁連は2月18日に意見書を提出し、@改正点を個別に問うのか、一括して問うのか、A「国民の過半数」は有権者の過半数か、有効投票の過半数か、B公職選挙法に準拠するとして検討している公務員やメディアなどの活動の規制などは、内容によっては改憲勢力に利するものになるなどの問題点を指摘しています。
 
 国民投票条例の今国会上程の動き

 とくに公務員の国民投票運動の禁止にたいして自由法曹団は、投票運動については基本的に公職選挙法にならい、違反に罰則規定がおかれているなど広範な禁止項目が設けられていることにたいし、「そもそも日本の公職選挙法は、本来自由であるべき選挙活動を不当に広く規制しているものであって、その内容自体が問題である」と指摘しています。
 国民投票法案は、連休明けにも国会上程という動きがあります。同時に、時事通信によると、自民党は地方公務員の政治活動への規制強化を求める答申をまとめ、議員立法で今国会に提案する動きを強めています。 憲法の改悪を阻止するたたかいが、いよいよ国会での国民投票法案提出を阻止するたたかいに具体化しようとしている中で、私たちの運動の急速な展開が求められています。 
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