いまなぜ憲法九条か

九条は国連憲章をより発展させた世界の目標

小森陽一さん(「九条の会」事務局長 東京大学教授)が講演

府職労自治研集会が府民も参加し成功

 7月9日に開催した第21回府職労自治研集会に府職員と府民など230人が参加しました。全体会に続いて午後からは10の分科会がもたれました。ここでは記念講演の内容を中心に紹介します。
 全体会では、佐井惇委員長のあいさつに続き、多田哲子副委員長(府職労自治研推進委員会責任者)が「自治体の市場化ストップ! 今こそ憲法を暮らしに生かす府政の確立を」と題して基調報告を行ないました。そして小森陽一さん(「九条の会」事務局長・東京大学教授)が記念講演(「いまなぜ憲法九条か」)を行いました。

  常に犠牲となるのは一般市民

 小森さんはまず、ロンドンで起きた同時多発テロを例にあげて、常に犠牲となるのは何の罪もない一般市民であり、こうした事態をどれだけことばの力で押しとどめることができるのかが、いまや人類史的な課題となっていると語りました。
 そのうえで、憲法九条にある「希求」ということばについての大江健三郎氏の発言を紹介しながら、2百数十万人というあまりにも多くの戦死者をもった国民の倫理観の発露が九条であると語りました。そして憲法の1年前につくられた国連憲章との対比でも、けっして一国平和主義でも国際平和を考えていないわけでもなく、逆に国連憲章だけでは国際平和は守れないとの強いメッセージを発し続けていると強調しました。
 そして、この九条が国家の暴走を押しとどめる原動力となってきた事実を指摘しながら、アメリカが九条の改悪によって日米安全保障条約という「2国軍事同盟」に基づく「集団的自衛権」の行使を可能にしようと強い圧力をかけていることを指摘しました。

  九条が戦争と平和の分岐点

 小森さんはさらに、こうしたなかで、九条こそが21世紀の戦争と平和の分岐点となっていることをアメリカの世界戦略を具体的に示しながら明らかにしました。そして「九条の会」の結成の意義と現状についてふれ、「国民の過半数と対話し、組織する、かつて経験したことのない運動」と語りました。そのうえで、「今が勝負のしどころ、憲法を選び直し、憲法を生きぬくことが求められている」、「政府は戦争に流れるもの。これを許さないためにわれわれは不断の努力が必要であり、一緒に憲法を生きぬこう」と呼びかけました。
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