ミス・ニアミス約九割が経験

日本医労連の労働実態調査

看護職員の多忙化が背景に

 日本医労連はこのほど、「看護職員の労働実態調査」の中間報告を発表しました。「最近、看護業務量が増えた」と訴える人は6割を超え、この3年間でミスやニアミスの経験があると答えた人は9割近くに上るなど、看護職員の過密労働で患者の安全が脅かされかねない深刻な実情が浮きぼりになりました。
 今後、調査結果をもとに、看護職員の配置人員の改善を求めて、厚生労働省などへの働きかけを強めます。 10月中旬までに回答があった組合員17108人分を集計したものです。
 最近の業務量の変化を聞いたところ、「大幅に増えた」が27・3%、「若干増えた」34・8%で、合計62・1%が「増えた」と答えています。2000年に実施した同様の調査と比較すると、「増えた」は7・6ポイント高まりました。「変わらない」は31・8%、「減った」は4・6%です。
 医療現場の多忙化が一層進む中、「この3年間でミスやニアミスを起こしたこと」があるかとの問いに、「ある」と答えた人は86・0%。医療事故が続発する原因を聞くと(3つまで可)、最も多かったのが「医療現場の忙しさ」の83・7%で、以下「看護知識や技術の未熟さ」38・4%、「交代制勤務による疲労の蓄積」35・2%、「慢性的人員不足」32・4%が続いています。
 残業時間についても聞きました。始業前に仕事に就く早出残業は平均19・5分。就業後の残業は平均48・3分。2000年調査時よりも残業時間は増え、若年層ほど多くなっています。
 年休の取得日数は平均8・2日。取得ゼロが7・0%(2000年調査では4・1%)と14人に1人の割合であり、5日未満が32・7%(同20・8%)と5年前より取得日数が減少しています。生理休暇についても9割近くがとれていないと回答しています。


 ●心身の疲労大きい

 過密労働で看護職の心身の疲労が蓄積していることもわかりました。比較的若い層が多いにもかかわらず、3人に2人が健康不安を訴えています。「疲れが翌日に残ることが多い」など慢性疲労を訴える人は8割近くに上ります。
 「最近6カ月間で、仕事をやめたいと思ったことがどの程度あったか」との問いには、「なかった」はわずか9・4%。「いつも」「しばしば」「時々」を合わせ72・5%が退職を考えたことがあると答えています。特に若年層ほどこの傾向が強く、精神的にも追い詰められていると報告書は分析。看護師不足の悪循環をもたらしていると指摘しています。

目次へ