石破前防衛庁長官「国防」鳥インフルエンザの記述に怒り
 
 最近発行された、石破前防衛庁長官の著書『国防』に、昨年の鳥インフルエンザの際に京都府が自衛隊の出動要請した顛末が記述されています。その内容に黙って見過ごすことができない記述があり、府職労は6月1日、知事宛の公開質問状を提出しました。 現場で作業にあたった2人の組合員から感想が寄せられています。

府職員の誇りに傷をつけたのは誰!?

心底から怒り
宇治支部Aさん
 私は数回現場に赴いた。内3回、鶏の殺処分に従事した。畜産振興にたずさわる者としては、生きた鶏をゴミ袋に詰め、炭酸ガスを充填して積み重ねるという精神的にも肉体的にも厳しく辛い作業だった。それを自ら行い、また、動員の職員に指示するのが仕事だった。
 奮闘したのは現場だけではない。職員の消毒や健康管理、車両消毒に大活躍した職員、諸機材や資材の調達や準備におおわらわだった職員、死亡野鳥の引き取りや検査に奔走した職員、鳴りやむことのなかった電話の対応に追われた職員…。
 洪水のような数の検体の検査に文字通り不眠不休で神経を張りつめ続けた職員たちは、続発となったT農場の検査結果が陽性と判明した瞬間、肩を震わせ声をおしころして嗚咽した。全羽殺処分という死刑宣告にも等しい現実がその農場に待ち受けていることに思いを馳せたからだ。
 あの石破氏に平身低頭し、あろうことか、こうした職員の奮闘や思いを踏みにじり、侮辱し、愚弄し、冒涜した「向う」に心底からの怒りを禁じ得ない

鳥は知っている!船井支部Mさん
 2004年3月 世界で初めて鳥インフルエンザにより24万羽の鶏が殺された。 のべ1万5千人の人たちが鳥を殺した。終結宣言の4日後に一人の職員が脳出血で倒れた。野生鳥獣担当の係長。4ヶ月後にもう一人の職員がクモ膜下出血で、職場で倒れた。当時用品の調達配布の責任者の一人だった。 タミフルの後遺症に悩んだ職員もいた。
 寝食忘れ、自宅にも帰らずがんばった職員がいた。すべての養鶏場を訪問していた。
 1万2千人の自治体労働者が動員で参加した。知事の感謝状に「馬鹿なことするもんや」と批判していた。自衛隊は来た。もったい付けて来た。4日間だけ来た。卵は鶏に非ずと卵の処理を放棄して帰った。石破元防衛庁長官の発言は許せない。
 この発言を京都府当局が認めるなら絶対許せない。倒れた人たちの無念、悔しさを考えると絶対許せない。住民のために一心不乱に頑張った自治体労働者にとって許すことはできない。
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