伊根町で「合併ノー」の審判

京都で初めての住民投票

全国でも住民投票や議会解散請求、リコール運動など進む
  
  3月13日日開票となった「伊根町・合併の是非を問う住民投票」は、「合併反対1.050票」「合併賛成941票」で、京都府の押し付けによる宮津市との合併について「反対」の住民の意思を表明しました。府内ではじめての住民投票となった伊根町では、「伊根を愛する会」と保守会派3名の議員の共同によって、「3月末の駆け込み合併はおかしい」「合併賛成の人も反対の人も、反対に○を」「伊根の将来は住民自身で決める」と訴えて、過半数を獲得したものです。投票は永住外国人をふくむ20歳以上の町民2504人による投票でした。これによって宮津市との3月末までの特例法期限内の合併は事実上頓挫しました。
 合併推進の立場に立っていた向井町長は「不信任を受けたからには予算の成立を見届けて辞職の方向で進退を考える」と辞意を表明しました。「愛する会」の宇治善高代表は「性急な合併協議をストップし、一度町民に考える機会を、の主張が支持された」と話しています。
 14日夜には「伊根を愛する会」の報告会が開催され「直接請求、住民投票と続き、これからが第3ラウンド。ご一緒に小さくても元気な伊根町を考えましょう」と訴えました。
 宮津市との合併協儀が勧められる伊根町で、住民投票条例を求める直接請求運動が起こり、1週間あまりで署名・1379筆、有権者の54%が賛同、投票条例の制定を求め選挙管理委員会に提出されていました。
 この住民投票条例案が、2月28日に開催された町議会で町長が提出していた反対の意見書を否決し、賛成多数(賛成6、反対5)で可決されました。京都では、丹後6町や大江町、三和町など14の自治体で住民投票条例を求める直接請求がされましたが、住民投票条例が可決されたのは伊根町が初めてです。これにより3月3日告示13日投票で住民投票が実施されることになりました。
 園部町、日吉町との合併がすすむ美山町で2月27日、町議会の解散を求める住民投票が実施されましたが、否決されました。これは、有権者の65%が求めていた「住民投票条例「の制定を求める直接請求を否決した町議会の責任を問うため議会の解散を求めていたものです。形は違っても事実上合併の是非を問う住民投票が京都で初めて実施されたことは意義あるとりくみでした。
 全国的には、長野県駒ヶ根市と上伊那郡飯島町、中川村の合併の賛否を問う住民投票が2月27日に投票、駒ヶ根市と飯島町で合併に反対する有効票が過半数を超え、法定合併協が解散する見通しとになり、「中央アルプス市」という新市の名前まで決まっていた合併案が破綻したことになります。愛知県美浜町と南知多町の合併の是非を問う住民投票でも両町で反対が過半数を超え「南セントレア市」構想が否決されました。 
 総務省はこのほど、「平成の大合併」で全国の市町村の数が1.000以上減る見通しであると発表しています。99年3月31日に3.232あった市町村は、来年の3月31日までに少なくとも2331まで減る予想を立てていることになります。

 京都は14市13町1村に

 京都では、4月1日に京都市と京北町が合併、10月11日に「京丹波町」になる丹波、瑞穂、和知の各町が合併します。3月31日現在で11市長が合併申請を知事に提出しています。申請しているのは「福知山市」(福知山市、三和町、夜久野町、大江町、合併は来年1月1日予定)、「南丹市」(園部、八木、日吉、美山の各町、来年1月1日)、「与謝野町」(加悦、野田川、岩滝の各町、来年3月1日合併)です。これで京都は14市13町1村になります。
 平成の大合併は、合併した自治体に財政上の優遇措置を盛り込んだ特例法によって99年4月から始まりました。兵庫県篠山市など1市4町の合併による篠山市の誕生が第1号。特例法では今年3月中に都道府県に申請、06年3月末までに合併すれば特例措置が受けられるため、総務省では今後駆け込み申請が増えて、最終的に市町村数は2000を切ると見込んでいる模様ですが、全国では地方自治を守る運動も進み、住民投票や議会解散請求、町長リコール運動などの住民運動が前進しています。
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