今年の秋までに公務員の削減計画迫る

社会保障の大改悪と大増税の方向も

2005年骨太方針を閣議決定

 政府は6月21日、経済財政諮問会議がまとめた「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」(骨太方針2005)を閣議決定しました。「小さくて効率的な政府」をつくるため、社会保障給付の抑制や「公務」の大幅なリストラ推進をうたっているのが特徴です。
 骨太方針は、次年度の予算編成をはじめ、国の経済財政運営についての基本方針となるもので、今回で5回目。これまでも「民間にできることは民間に」などの原則の下に、規制改革、金融システム改革、税制改革、歳出改革という四分野の構造改革を進めてきました。
 今回の骨太方針2005は「小さくて効率的な政府」づくりを前面に掲げ、官から民へ、国から地方へという改革の徹底を要求。郵政民営化などで資金の流れを官から民へ変えることも必要と訴えています。
 公務のリストラでは、@市場化テストの本格導入による政府業務の民間開放A国・地方の徹底した行政改革B公務員定数の純減などを通じた総人件費削減──を打ち出しました。公務員定数に関しては、今年の秋までに「純減目標」など総人件費改革のための基本指針を定めることとしています。
 社会保障改革については、「医療費適正化の政策目標を2005年中に設定」すると明記しました。原案にあった「経済成長率などに連動した総額管理指標の導入」は見送られ、表現が緩やかになってはいるものの、医療費抑制の基本方向は変わっていません。
 公務員の人件費削減と社会保障費の抑制は、目標が具体化される秋から年末にかけての時期が大きな山場になります。
 Q 骨太方針は要するに何を主張しているの?
 A 大きな目標は、2010年初頭における国・地方の基礎的財政収支を黒字化することだ、という。「小さくて効率的な政府」という場合の原則は「歳出削減なくして増税なし」。つまり、政府として歳出削減の努力をしたぞとアピールした上で、次は増税を打ち出す考えなんだ。
 Q 具体的には?
 A 歳出削減として、医療費抑制や地方交付税の削減、公務の民間開放という名のアウトソーシング、そして公務員の人件費削減だ。企業の社会保障負担を減らし、公務の民間開放で企業に新たなビジネスチャンスを与える。そうやって経済活力を高めつつ、財政健全化をはかろうという考え方なんだ。
 Q 私たち国民にとってはどうなの?
 A 社会保障はますます削減されるし、増税もやってくる。これまで生活のセーフティーネットになっていた公務サービスが市場化テストなどによって軒並み民間開放される恐れもある。すでに規制改革・民間開放推進会議はハローワークを丸ごと民間に委託してはどうかといった提起もしている。国民の勤労権を保障している業務まで、民間の人材ビジネス会社に委ねてセーフティーネットが維持できるのかどうか、疑問だ。
 Q 生活はよくならない?
 A 今でさえ、国民の間の格差の拡大が大きな問題になっている。セーフティーネットの破壊で、この格差は一層開くだろう。大企業は活力を持つかも知れないけれど、国民は活力どころではないよ。骨太方針なんていっているけど、庶民はやせ細るばかりなのではないか。
自治労連が談話
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