「行政改革の重要方針」の閣議決定に抗議

自治労連が書記長談話

 政府は12月24日、臨時閣議で公務員総人件費、政府系金融機関など10分野にわたる今後の「改革」課題をまとめた「行政改革の重要方針」を決定しました。この「重要方針」は、国民・住民に対する国・自治体の責務を縮小解体するとともに、公務員労働者の労働基本権を蹂躙して推し進めるものです。また、政府は、こうした方針を盛り込んだ「行政改革推進法案」の次期通常国会提出を掲げています。自治労連は書記長談話(下記)を発表しました。 
 

国民に対する国・自治体の責任を縮小し、労働基本権を蹂躙する
「行政改革の重要方針」の閣議決定に抗議し、撤回を求める


 2005年12月24日
 
日本自治体労働組合総連合書記長 大黒作治(談話)

 地方公務員は4.6%以上の純減と福祉等の基準の引き下げ政府は、本日の臨時閣議で、2006年度予算政府案とともに、総人件費改革実行計画等10の分野からなる「行政改革の重要方針」を決定しました。総人件費削減では、国家公務員の総人件費を対GDP比で10年間におおむね半減すること、国家公務員(68万7千人)を5年間で5%以上純減することとあわせ、地方公務員(308万3千人)についても新地方行革指針(3月29日)で示した4.6%以上純減の「一層の上積み」をうたっています。また教育・警察・消防・福祉など配置基準を国が定めている分野の職員(200万8千人)は基準の引き下げによる削減をうたっています。そしてこれらを推進するために、2月上旬に「公共サービス効率化法(市場化テスト法)(仮称)」を、3月中旬をめどに「行政改革推進法案(仮称)」を通常国会に提出するとしています。
「小さな政府」は国民の安全安心を脅かすもの「小さくて効率的な政府への道筋を確かなものにするため」というように、この「重要方針」は、来年9月退任を明言する小泉首相が、後継首相に「小さな政府」路線を継続させる狙いをもつものです。しかし今日の日本は、人口千人あたり公務員数を比較すると欧米先進諸国の半分にも満たない「小さな政府」であり、さらに「官から民へ」という「改革」をすすめるならば国民の安全と安心を著しく脅かすものであることは、この間の耐震強度偽装問題一つとっても明白になっています。国・自治体の責任の縮小解体と労働基本権の蹂躙公務・公共サービスが国民のくらしと権利を保障している役割を評価し、真に必要な公務・公共サービスを改善・拡充することこそ、国民が求める改革です。ところが、「重要方針」にいたる論議を主導してきた経済財政諮問会議や規制改革民間開放推進会議の審議経過を見るならば、国や自治体の国民・住民に対する責任を後景に退け、公務・公共サービスに対して悪罵を投げかけ、「官から民へ」の「改革」を至上のものとして猪突猛進しています。しかも労働基本権を制約された公務員労働者の雇用と労働条件に関わる問題であるにもかかわらず、国際労働基準に反して一方的に決定し推進しようとしています。政府に対し撤回を求め、国民住民とともにたたかう自治労連は、国や自治体の国民・住民に対する責務を縮小解体し、公務員労働者の労働基本権を蹂躙して推し進める政府に対し、厳しく抗議するとともに、その撤回を求めるものです。そして全労連が設置した「『小さな政府=大きな国民負担』に反対し、もうひとつの日本、安心できる公務・公共サービスをめざす闘争本部」と連携し、国民・住民とともに、住民のくらしと権利を守る自治体づくりのために総力を挙げてたたかいぬくものです。

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