またも、地労委の労働者委員から
京都総評を排除

京都総評が任命の撤回を求め申し入れ

京 都 府 地 方 労 働 委 員 会 第 3 9 期 労 働 者 委 員 の 極 め て 不 公 正 ・ 不 公 平 な 偏 向 任 命 に 抗 議 し 、 そ の や り 直 し を 求 め る 申 し 入 れ 書
  貴職は、本日2004年6月25日、京都府地方労働委員会の第39期委員の任命をおこなった。今回の任命は貴職が京都府知事となって初めての全面改選となる任命であるが、労働者委員の任命については京都総評や加盟28単産・21地区労協、京都の労働法学者・弁護士62氏などが求めた「公正・公平な任命」を求める声を無視し、荒巻禎一前京都府知事のやり方を踏襲して、「京都総評排除、連合京都独占」という不公正・不公平きわまりない極めて偏向した任命をおこなった。わたしたち京都総評は、今回の不当任命に対し、満身の怒りを込めて抗議の意を表明し、その任命のやり直しを求めるものである。

 前期の任命(2002年4月10日)以降2002年秋に発覚した連合京都の政治団体である「きょーと連合」の政治資金虚偽報告とそれにもとづく所得税の不正還付事件に、直近の委員を除く京都連合推薦の労働者委員が全員関わっていたことが明らかとなったが、この事実は1989年以来長年続いた京都府地方労働委員会の労働者委員から、京都総評推薦者を排除し、連合京都出身の委員で独占させてきたことの弊害を端的に示したものであった。  しかるに、今回の任命は、こうした重大事件を事実上全く不問にするものであり、断じて認められない。何があっても、どんなことが起きても、京都総評の推薦者は排除するという姿勢は、絶対に許されない。

 そもそも、労働委員会制度は、日本国憲法、労働組合法にもとづき、使用者による不当労働行為から労働者・労働組合を救済し、労働争議の調整・あっせんをおこない解決する、労働者の労働基本権を守るための制度である。このような重要な意義をもつ労働委員会が十分機能するためには、労働委員会を構成する委員の任命が公正・公平になされなければならないことは言うまでもない。使用者による組合間差別が不当労働行為として許されないように、知事によるローカルセンター間差別、すなわち今回の「京都総評排除、連合京都独占」という労働者委員の任命が、不当労働行為として許されないことは明らかではないか! “不当労働行為”によって選ばれた委員で構成される労働委員会にまともな不当労働行為の救済をどうして期待することができるのか!−この間続いた不当任命が、京都の労働者・労働組合の京都府労働委員会に対する信頼を大きく損なってきたことをしっかり自覚すべきである。

 労働者委員は、労働者委員が不当労働行為によって組合活動の権利を侵害されている労働者の主張や、争議中の組合の主張を労働委員会の審議に正確に反映する役割を担い、また公益委員の任命に対する同意権をもっていることから、その任命にあたっては厳格な公正・公平さが求められる。京都の労働者、労働組合が要求や運動の進め方の違いから、連合京都(組織人員100,274人、京都府内の組織労働者に占める比率は49.5%)と京都総評(同じく70,241人、34.5%)(いずれも京都府府民労働部労政課発行の「平成15年京都府労働組合名簿」の2003年6月30日現在の数値)という2つのローカルセンターに別れている京都の労働界の現状のもとで、労働委員会申し立て組合と労働者委員が信頼関係を保ち、労働委員会の審議を円滑に進めていく上でも、それぞれのローカルセンターから労働者委員を選任することが不可欠である。地方労働委員会の任命手続きを定めた「昭和24年7月27日付労働省通牒第54号」が「委員の選考にあたっては(ローカルセンター毎の)系統別組合員数に比例させる」ことと定めているのは、かかる趣旨からである。今回の貴職の「京都総評排除、連合京都独占」という労働者委員の任命は、日本国憲法、労働組合法、労働省通達の趣旨に反するものであり、京都の労働運動の現実をまったく見ようとはしない任命である。

 昨年2003年3月、ILOは、日本政府に対して、「労働委員会及び他の審議会における構成の公平性に対するすべての労働者の信頼を回復するために、結社の自由原則にもとづいて、すべての代表的な労働組合組織に公平で平等な待遇を与えるために適切な措置を講じる」ように勧告した。この勧告が日本政府にだけ宛てられたものではないことは明白である。また、昨年7月には、福岡地裁が、「県労連の推薦候補を排除したのは、知事の裁量権を逸脱している」と明確に判じた。この間、全国的には、東京、埼玉、大阪、和歌山、高知に続いて、2002年1月に長野で、同年8月に千葉で、同年11月に宮城で、地方労連推薦の委員が相次いで任命されてきており、全国的には「連合独占、全労連排除」の不正常な事態が克服されてきている。今回の府知事の任命は、ILO勧告、福岡地裁判決、全国的動向に背を向ける極めて不当なものである。

 わたしたちは、貴職の「京都総評排除、連合京都独占」という不公正・不公平極まりない偏向した労働者委員の任命を断じて認めるわけにはいかない。貴職に今回の任命を撤回し、あらためて任命をやり直すよう求めるものである。

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