ぶっつぶそう年金改悪


13年間も保険料を引き上げ、給付は大幅削減

国民に怒り、改悪反対の世論いっそう

 4月6日の昼休み、堀川商店街のスーパー前で府職労北上地協が年金改悪に反対する宣伝・署名行動を行いました。パネルを掲げ、ビラを手渡し、ハンドマイクで訴え、署名を呼びかけると、「ほんまに大変になるねぇー。どんどん年金が下がっていくし、私らもそーやけど、子どものことが心配で」と、話しかけてくる年輩の女性。年金改悪への怒り、不安など率直に話しかけてきます。パネルを見ながら通行していく買い物客が多く、国会で年金審議が始まったことも影響してか、関心が高まっていることを示しています。

今年の退職者も年金「通知書」を

見てガックリ 今年定年退職した教育支部のYさんの手元に届いた年金額の「通知」を見せていただきました。Yさんは、42年間共済年金の保険料を払いつづけました。それで定年の年に受け取る年金は約183万円。定額部分の「基礎年金」は62歳(厚生年金加入者の場合は、女性は60歳から支給)から、それで約260万円ぐらいになります。
 「再任用で、これから厚生年金の保険料と雇用保険料をはらわなあかん。雇用保険払っても年金との併用はあかんし、かけ損」と矛盾を感じていますが、保険料の負担が生活にどかっとのしかかります。
 
老齢者・配偶者控除廃止で年金生活も

ピンチ それだけではありません。政府・与党は、昨年の通常国会で国民に新たな負担増を押しつける税制「改正」を強行、05年1月から実施されます。老齢者控除の廃止と公的年金など控除の廃止を強行しました。
 その結果、老年者の50万円控除が無くなり、公的年金など控除が140万円から120万に減額され、配偶者特別控除も廃止されました。そのため年金課税がどっとかけられるようになりました。
 府職員退職者会の伊東さんは「配偶者控除も廃止され、所得税がかかるようになり、府市民税、介護保険料、国保税が引き上げられ、年収でいけば将来40万円を超える収入減になる。それに今年は物価スライドで0・3%引き下げられた」と怒ります。

2017年まで毎年保険料引き上げ

 いまでもひどい年金制度です。その上に歴史的な大改悪案が国会に上程され、政府・与党は5月の連休前までに強行しようとしています。
 第一の改悪の柱は保険料の大幅アップです。現在の保険料率は13・58%(労使折半)ですが、これを2017年までに18・3%にするため毎年0・354%引き上げるというのです。年収500万円の人の場合、1年ごとに年約9000円ずつ上がり、14年後には現行より約12万円の負担増になります。
世帯種類別の給付水準
世帯種類 2004年 2025年
夫は40年間就労、妻は40年間専業主婦 59.3% 50.2%
夫婦共働き(夫・妻ともに40年間就労) 46.4% 39.3%
妻が子育てで離職後再就職(就労期間26年2ヵ月) 49.6% 42.0%
妻が出産後離職し専業主婦(就労期間6年9ヵ月) 56.1% 47.5%
男性単身世帯(40年間就労) 42.5% 36.0%
女性単身世帯(40年間就労) 52.7% 44.7%

 第2の柱は、給付の大幅カットです。政府の「モデル世帯」で、現行・収入の59・3%を2025年までに50・2%にするというのです。「モデル世帯」というのは、妻が40年間専業主婦で夫が60歳までの40年間保険料を払いつづける世帯のことです。夫は20歳には結婚していなければならず、日本ではまれな世帯ではないでしょうか。しかも、厚生労働省は50・2%を下回ることもあると強弁しています。
 夫婦共働きは39・3%、男性が独身の場合は36・0%に引き下げられ、平均16%のカットです。65歳から受給し15年間受け取るとして約700万円のカットになるというのですから、ひどい改悪です。

国会審議なしに保険料アップ給付カット

 政府は、年金制度の見直しをこれまで5年に一回行い、国会審議をしてきました。そのたびに掛け金が上がり給付がカットされてきましたが、国会審議は行ってきました。
 ところが、今回の改悪が歴史的大改悪といわれるのは、今後国会審議することもなく、自動的に2017年まで保険料を上げつづけ、2025年まで給付を下げ続けるという内容だからです。