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府職労ニュース

“全国初”を押しつけるトップに現場は混乱
広く意見を求め、理解を得る努力を

府・市町村税「賦課・徴収一元化」構想

 先日、京都府市長会が税務共同処理の広域連合を来年の秋に設立する目標を確認したとの報道が行われました。来春からの後期高齢者医療制度の広域連合が、国からの押しつけとすれば、これは全国初が好きな京都府トップからの押しつけと言えるものです。

寝耳に水”の一元化構想 「税務共同処理の広域連合
 来秋設立目標を確認 府市長会」。10月3日付の京都新聞の見出しです。昨年(06年)7月、知事が府議会で突然に府内市町村との「徴収一元化構想」を打ち出し、該当職場・職員は“寝耳に水”のことと驚きました。さらに11月28日付の新聞紙上に、税業務を府内市町村と一元化する方針を固めたとの内容の「全国初。賦課・徴収とも一元化」との活字が踊ると職場には衝撃が走りました。
 そして今年7月には共同化による人員削減効果が新聞で報じられるなど、税務全般に関わる共同化に向けての作業が急ピッチですすられようとしています。
 当局は今年度は電算なしにできる「大口・困難案件の共同徴収の実施」、来年度は徴収業務を共同化、課税も一部実施、再来年度は課税業務を共同化するというテンポで作業を進めるとしています。
 「徴収」「電算」「課税」の3分科会が集中的にとりくまれるとともに、今年8月1日には府と市町村職員計81名に併任発令がされ、府と府内25市町村が府税や市町村税の大口滞納者に対して、共同で取り立てや差し押さえなどの滞納整理がはじまっています。
 こうしたなかで、10月2日には京都府市長会が、税務共同処理を行う「広域連合」の来年(08年)秋での設立をめざすことを決めるに至ったわけです。

副知事先頭の“推進機関車” 
 「“全国初”が好きなトップの強い意向のもと、わずかな期間で“徴収一元化”へと動きだし、さらに“賦課・徴収一元化”へと変化した」と語るのは府税支部の支部長です。「同じく広域連合のとりくみを進めているものの、一定の時間をかけ議論をし、“県民への説明”を課題のトップに掲げている静岡県と比べてもあまりに拙速。じっくりと議論していくべきだし、スケジュールにこだわるべきではない」と話します。
 支部長が、「有識者会議どころか、副知事先頭の“推進機関車”」と指摘するのが、この間の共同化の議論に積極的な役割を果たしてきている「京都府税務共同化推進委員会」(7名の委員で構成)です。今年5月に設置されて以来、これまで7回の会議が開催されてきましたが、新聞報道などでは「猿渡副知事を中心に税務事務の共同化を検討している『京都府税務共同化推進委員会』は…」という表現も使われ、会議のイニシアチブをだれが握っているかを如実に示しています。

憲法・地方自治を守り広げる視点で
 支部長は「憲法(92条)や地方自治法(223条)、地方税法(2条、20条3)など地方自治の観点から見たときどうなのかはもちろん、地方団体の賦課徴収権への影響が心配」と話し、「共同課税が“標準化”を前提とするならば、超過課税や不均一課税、法定外地方税課税など各地方団体が個々にもつ課税自主権を弱めることにはならないだろうか」と指摘します。
 さらに、「広域連合たちあげということは自治体が額に汗して徴収することをなくすわけで、職員の誇りや住民の納税意識はどうなるのか。そして“貧困と格差”が大きな問題となっているもとで、税務の窓口と福祉の連携などが強調されているのに、郡部の税務室や市町村において税務行政が他の行政から切り離されることは問題ではないだろうか」と語ります。
 そのうえで「推進委員会ではこうした議論は全く行われず“一元化ありき”のもとで進行している」と批判します。
 府職労は、税務部会、府税支部を中心に当局に説明責任の発揮を求め、5回に及ぶ意見交換会や交渉の場を持ってきました。また6月28日に府北部での、7月7日に府全体での市町村税務職員との学習懇談会を京都自治労連主催でとりくみました。市町村の税務職員からは「京都府の進め方は乱暴だ」との声も出ました。

 共同化は地方分権や民主的な税務行政のあり方の根本に関わるだけでなく、府・市町村職員の労働条件にも関わる重要な問題であり、住民や市町村職員も交えた十分な議論が不可欠です。
 支部長は、「“拙速ではないか心配だ”“全体の設計図がない”との職場の不安があるにも関わらず、広域連合設置の報道を先行させる京都府の進め方に職場からの批判は強い。京都自治労連とも連携しながら、さらに当局に対し府民、市町村、職員の意見を求め、理解を得る努力を尽くすように求めていきたい」と語ります。


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