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事業の府民的役割、職場からの議論が大切
副知事「最後はプロである行政が判断する」と断言

 6月1日、府民サービス等改革検討委員会(委員長:石原俊彦関西学院教授ら外部委員4人で構成)による「事業仕分け」が行われました。対象事業は体育館、植物園、図書館の3つの施設の運営全般、外郭団体運営助成、福祉関係各種助成、シルバー人材センターへの助成や障害者等の職業訓練等の労働関係事業など20事業です。外部委員に頼るのではなく、行政のプロとして府民のくらしを支えるかけがえのないものであるそれぞれの施設や施策について、府政や仕事のことを見直し議論し合う機会としたいものです。

 
改めて各事業の府民的役割が明らかに
 20のモデル事業は、そのどれもが府民のくらしと多様な分野で密接に係わるもので、1日に行われた検討委員会では、外部委員も否定できない各事業の府民的役割が、明らかになりました。
 各担当課からは、それぞれの施設や事業の果たしている重みが述べられ、「300のクラブが体育館を拠点に活動。96%の利用率」(体育館)、「市町村の職員の相談等も含め図書館の支援、レファレンス等の職員の専門性が大事」(図書館)、「伝統産業支援は地道に積み重ねることが大事」「水道未普及地域があるなかで、安全・安心な簡易水道を推奨し、99%の普及率に貢献してきた」(市町村簡易水道施設整備)、「12万本の植物を管理しており、その継承が重要。なかには江戸時代から同じ種を残している貴重なものもあり、そうした維持管理の技術は民間では難しい」(植物園)などあらためて都道府県の果たす役割が明らかになりました。

外部委員からも「この事業は良い」
 また、委員からも「民間に勝るとも劣らないサービスを提供している」(体育館)、「必要であることは間違いない」(北近畿丹後鉄道への支援)、「伝統産業の継承支援200万円は少ないのでは」(匠の技継承支援事業)、「こういうのにこそ府の役割があると思う」(障害児の受け入れのための私学への人件費補助)、「市町村まかせでは不公平もある、本来は府がやるべき」(保育所運営費と係わっての無認可保育所への府の助成)、「この事業はいい。経費を節減して対象広げていくことも必要。就労支援では技術習得だけでなくもっとやることがあるのではないか」(低所得世帯への子の技能習得援護費)、「高齢者に健康で働いてもらえる意味のある事業と思う」(シルバー人材センターへの運営費助成)、「障害者の職業訓練は重要なとりくみ。妥当性がある。ハローワークが市場化テストで民間になったら民間で就労指示されることになるが、本来そうしたことは府や市町村でやってしかるべきこと」(職業訓練支援費)、「夜間コンサートもいいが、後世に残るものをもっと大事に考えるべき」(植物園)などの意見が出されました。

 すすめ方と内容には問題が
 一方で、今回の事業仕分けのすすめ方と内容には危惧すべき点があることも事実です。
 すすめ方の点では、組織改正で財政・組織・定数管理・ITの権限が集中した行政改革推進課が主導し、20事業を選定しモデルとして実施されたことです。
 7月10日の委員会で、委員会として仕分け(事業の方向性に対する委員会の意見)を決定するとしていますが、今回の限られた4人の検討で、府民のくらしを支えるそれぞれの施設や事業のあり方の方向性が決められていいのかという問題があります。
 内容的には、「一つひとつの事業やサービスについて担当課は部分最適を求めるが、我々外部評価の立場は、全体を見てどうかということを見る、そうしないと借金を減らせない」との事業仕分けの観点が示され、施設・外郭団体のあり方、市町村・団体・個人への助成施策の必要性や効果についてのやりとりが行われるなか、指定管理者への移行の検討(体育館)、総合資料館との関係(図書館)、人件費・職員数の妥当性の検討(3施設、外郭団体)、老人医療給付の見直し等の意見があったことは問題です。

 職場での議論が決定的
 教育支部図書館分会は、5月29日に図書館長あてに、@府立図書館の運営は、「公立公営」によりおこなう立場を明らかにすること、Aいわゆる「外部仕分け」の経過について明らかにすること、B昨年秋からの予算要求資料をはじめ「各部局による資料修正」に関する資料を明らかにすること―の3点からなる「事業仕分けに関する申し入れ」を行いました。
 麻生副知事は6月4日の府職連(府職労、京教組)による要求申し入れの際、「様々な意見を聞きながら、最後はプロである行政が判断することが大事」とし民間委員丸投げの事業仕分けを否定し、職場での議論を大事にする姿勢を示しました。
 今後、今回の外部仕分けもふまえ、秋の予算議論のなかで職員による事業仕分けが行われていくこととなります。事業仕分けがもつ問題点を押さえながらも、それぞれの仕事を通じた行政の役割を職場から議論し、府民との共同をすすめることが自治体リストラの攻撃をはねかえしていくことにつながります。
 まともに仕事のことや府民のくらしのことが率直に議論できる職場づくりが重要です。


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