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公務員の運動保障せよ
改憲手続き法案、中央公聴会で高知自治労連書記長が公述人

  4月5日、衆院憲法調査特別委員会は改憲手続き法案に関する中央公聴会を開催し、一般公募に応募した124人の中から選ばれた7人の公述人が意見陳述しました。その一人として高知自治労連・松繁美和書記長は、憲法尊重擁護の誓いをもとに仕事をしてきた地方公務員の立場から、また自治体労働組合の役員として憲法問題で自治体首長との懇談や議会要請などをすすめてきた立場から公述しました。

6地方議会の意見書採択は、性急さへの危惧の現れ

 松繁さんは冒頭、自民党新憲法草案が「立憲主義の原則を踏み外す内容で、国家が国民を縛る内容」となっており、「憲法を豊かに発展させるものではなく解体につながるもの」と述べ、しかも安倍首相の最近の言動からも、国民投票法案は「改憲」を行いやすくして憲法9条を変えようという意図が明白だと指摘し、法案に反対する立場を表明しました。
 また、高知県内の6地方議会で法案の廃案や慎重審議を求める意見書が採択されたことを紹介し、「こういった問題は国の問題だとして採択されることは少ないのが現状であり、ましてや自民党、民主党の動きに反対する中味がある意見書が採択されたことは、まだまだ数は少ないかもしれないが、大きな変化だ」と述べ、法案審議の性急さへの危惧が広がっている現われだと指摘しました。
憲法に照らして、住民にとって悪いものであれば反対の意見を表明してきた法案の内容の問題点について、公務員・教員の運動規制を中心に公述しました。松繁さんは高知県本山町職員として、住民のいのちや暮らしを守るための仕事をする中で、医療や福祉にかかわる制度が変えられるとき、「その制度が地域で暮らす高齢者や障害をもった方々にどんな影響を与えるかを考え、悪くなるものであれば、私たちはその制度に反対の意見を表明し、署名活動もした」と振り返り、その判断基準は「憲法25条や13条などに照らしてどうかということだ」と述べました。そのうえで「憲法が変えられようとするときに、憲法に深くかかわって仕事をしてきた公務員こそ、自由闊達な意見表明を認めるべき」とし、「憲法尊重擁護義務を宣誓した公務員が、憲法のあり方にかかわることができないなどということは憲法理念に反するもの」と指摘しました。

多くの公務員は「地位利用」とは無縁

 松繁さんは、公務員の「地位を利用した」運動規制について、国民投票運動全体に萎縮効果をもたらすもので削除すべきであり、「自由な意見表明ができてこそ『全体の奉仕者』としての仕事ができる」と述べました。また、「多くの公務員は利用したくともそんな地位はない。あるのは高級官僚の方々。こうした方々の地位利用は別の法律で取り締まればいい」と指摘しました。
 また松繁さんは、昨年11月2日の小委員会で自治労連・田中副委員長が参考人として「『原則規制ゼロ』の立場に立てば、国家公務員法の政治活動の制限を国民投票期間は適用除外とすべき」と述べたのに対し、自民党も民主党も基本的に賛同し、その方向での修正協議がすすめられていたにもかかわらず、与党「修正」案で突然規制強化になったことを指摘し、「公務員や教員が国民と力をあわせて憲法を守り豊かにしていくことをおそれているのか」と述べました。
 さらに、「最低投票率の定めがないことは、憲法改定が少数の賛成で行われるおそれがある」ことや、有料広告について「資金力の違いが宣伝力の格差となって表れる」ことを指摘しました。


「九条の会」の広がりや、みずからの戦争体験を語る首長の思いに耳を傾けて

 松繁さんは、全国で「九条の会」が6千をこえて広がり、高知県でも45の会がつくられ、憲法改悪反対の署名が有権者過半数をこえた自治体が2つあることを紹介し、「9条は守らなければ、の声が広がっている」と述べました。
 また、憲法をテーマにした首長との懇談をすすめてきた経験に触れ、ある首長は「じっくりと過去を振り返り慎重な対処をしてほしい」と改憲を急ぐ流れに心配するメッセージを寄せていることや、またある首長は憲法改定の話に及んだときみずからの戦争体験を語り、戦争はやってはいけないと言われたことを紹介しました。


国民は拙速な法案成立には反対。廃案にして出直すべき

 最後に松繁さんは、自民、公明与党が「修正」案を出したことに触れ、これに対する審議についても公聴会を実施するなど十分な時間が必要であり、「報道されているような4月中旬に審議打ち切り、委員会採決などはありえないこと」、「国民は拙速な法案の成立に反対している。国のあり方そのものを規定する日本国憲法をどうするかという問題であり、法案は廃案にして出直すべき」と述べました。

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