その@少子化対策

子育て支援とはいうけれど……

 人口統計を取り始めて以来、初めて人口の自然減に突入した2005年。06年度予算案は、人口減少に歯止めをかけるための少子化対策として「地域子育て支援対策」(734億円)や「保育サービスの充実」(3558億円)などのメニューを掲げています。

 子育て世帯への経済的支援では、児童手当の支給対象年齢を拡大(小3→小6)。出産育児一時金支給額も現行 30万円を35万円に引き上げる予定です。
 また、仕事と子育ての両立支援策として、育休取得者が初めてでた中小企業事業主に対する助成措置(48億円)、子供を育てる女性の再就職を支援するマザーズハローワークの新設など(20億円)も。

 しかし、少子化の原因のひとつとされる所得格差拡大については、「(明治時代の)生活水準が満たされていない段階でもたくさん育てていた」(小泉首相)と無関心。経済的に結婚や子育てが難しい非正規・不安定雇用の低賃金労働者を大量に生み出してきた雇用政策への反省はゼロです。

 子育てで最もお金のかかるのが塾・予備校を含めた高校、大学段階ですが、私立大学並に高くなった国立大学授業料の引き下げなどについても政府の念頭にはありません。
 子どもを産めない、育てられない環境を促進しながらの「少子化対策」では、その効果も限定的です。

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