賃上げで個人消費好転を

全労連の国民春闘白書

改憲・大増税との闘いも

 全労連と労働総研はこのほど、「2006年国民春闘白書」(データブック)を発表しました。副題は「変えよう ルールなき競争と格差社会 つくろう 労働者が元気になる社会」。賃上げで個人消費を好転させようと強調するとともに、憲法改悪、大増税反対などのたたかいと結合して春闘を進めることを呼びかけています。
  白書は、01〜04年の3年間で労働者や企業の状況はどう変化したかを示す一覧表を掲載しました。企業の生産活動は堅調だが、対照的に労働者は賃金減を強いられ雇用は低迷、個人消費にも明るさが見られない実態を数字で示しました。 「生産活動を担う企業側についてはプラス基調なのだが、勤労国民の側には明るさが見えない状況」と指摘するとともに、「個人消費を好転させる賃上げを勝ちとるたたかいが06春闘には求められている」と述べています。
 労働者が家計を切り詰めている実情にも言及し、貯蓄残高ゼロ世帯が2割を超え経済問題を理由とする自殺も年間約8000人に達することなどをあげました。そのうえで、個人消費を回復してこそ経済を再建できると力説、「家計を守る運動を前進させることが期待されている」としました。 大企業が内部留保を増やし、04年度の内部留保(金融・保険を除く資本金10億円以上の企業)は204兆円でバブル期(90年度)の2倍に達したことを紹介。主要企業143社のうち96社は一人当たり内部留保(連結)が1000万円以上ある。1000万円の1・8%を取り崩すだけで月1万円の賃上げが可能との試算も示しました。 白書はまた、企業の正規雇用抑制や春闘低迷の中で労働者の賃金水準が低下していることを重視。とりわけパートなど非正規雇用の増大が大きな背景だとして、最低賃金など賃金底上げの意義を強調しています。
 政治闘争にかかわっては、小泉政権が憲法改悪、日米軍事同盟の世界的展開、大増税、医療改悪などをめざす一方、国民との矛盾も広がっていると分析。その上で悪政に対する運動を職場・地域から広げ、労組や国民との共同を発展させようと提起しています。
 
●大企業11社の「通信簿」
 白書は昨年に続き、主要企業のCSR(企業の社会的責任)達成度を示す「企業通信簿」を掲載した。
鉄鋼、電機、自動車など日本を代表する11社について、雇用の増減や内部留保、賃金水準、女性管理職の多さ、訴訟の有無、政治献金、天下り、企業不祥事など27項目について100点満点で集計。これを基にAからEまでの五段階評価で示しました。11社のうちA評価はなく、日立製作所、東芝、日産自動車の3社がB評価とされています。

目次へ