建築関係者への「構造計算偽装問題」アンケート結果

「考える会」が見解発表 @

 建築関係国体・労動組合などでつくる「構造計算偽造問題を考える会」を結成し、耐震強度偽装事件に対する、京都府内の建築関係者の意建築関係者への「構造計算偽装問題」アンケート結果見をまとめるアンケートにとり<み、2月25日に耐震問題シンポジウムを行いました。それをふまえ、再発防止と建築行政の再生にむけての見解をまとめました。
 
1、アンケートの特徴について
 アンケートは、京都府・京都市・宇治市の特定行政庁、国土交通省近戦地方整備局、建築設計事務所、建設業などの建築技術者172名から回答がありました。50才代が最も多<、次いで40・30才代であり、勤続経験の長い技術者からの意見が多いと言えます.
 記述式アンケートの意見の傾向は、
@「今回の事件についての考え」については、社会のひずみや効率・利益第一主義などによる競争の激化を反映し、関係者の倫理観やモラルの低下が招いたとみる意見が多く、安全にはコストがかかることを強調する意見もありました。持に、「規制緩和が誤りであり、起こるペ<して起こった」との意見は多数の声となっています。さらに、民間確認検査機関の置かれている「利益を生まなければいけない・同業者との競争に負けられない」環境に着目した意見。人員不足や技術力の低下など体制の弱さを懸念する声は、各関係者からもも寄せられています。また、建設業の体質とする意見と、一方、偽装はないという前提か崩れたとする意見の両方が関係者の間で交錯しています。

A「建築主、設計者(意匠・構造・設備)、施工者相互関係の改善」については、建築主のモラルが大事。また、とりわけ低位に置かれている構造建築士を含めた設計者の地位の向上と関係者の協働を求める一方、施工する立場とは独立した設計監理者の大切さを強調し、責任をはっきりさせるべきという意見が多<あります。さらに、ミスを防ぐために第三者機関による二重チェックを求める声もあります。行政関係者からは、現行法が違反工事に対して罰則が甘い点の指摘も強くあります。
B「建築確認制度の改善点、最終責任は行故にあるとする最高裁判決」については、確認をおろした審査機関が責任を持つべきであるという意見がある一方、行政の責任については、行政関係者から最高裁判決を「そのとおり」という声と「納得できない」という両論があるが、システム上の問題や体制がとれていない問題など実態はそうではないという意見が多くあります。また、民間で不十分なら元のとおり、行政1本でやれば良いという意見もあります。
C「その他、再発防止策、建築士資格更新制度」については、構造専門の資格制度を設けるべきという意見や内部告発権、ユーザー参加の方法を探る、罰則を重くする、コンピューターリソフトを改ざんできないものにすべしなどがだされています。資格更新には、偽造や犯罪には効果かないとの意見が大半で、一方、研修的なものは必要だとする回答がいくつか見られます。
D「公的支援のあり方」については、賛成は37人(23%)、反対は61人(37%)、どららともいえないは65人(40%)となりました。様々なケースを考えての条件付きで判断しているのか多く、迷っている姿が浮かびます。賛成では、「行政責任あり」「災害と同じに考えるペき」「入居者支援が大事」「ヒューザーなど関係者が補償できない場合はやむを得ないのでは」などの意見.反対では、「当事者責任を追及すべき」「他の震災や新耐震以前の古い建物はどうする」「(安さに目を奪われた)購入者の自己責任がある」「税金投入はおかしい」などの意見。どららともいえない意見は、反対の意味を持ちながらの意見といえます。

E「偽装や手抜きの強要・教唆などの体験や話」については、「聞いたことがない」「できるはずがない」というのがほぼ全員の回答です。そのなかで、法に触れるギリギリのところを求められることはあるが、「できないものはできない」とはっきり対応していることが明らかになりました。

F「その他、仕事のなかで改善すペきと感じること」については、今回の事件を通じて、今の社会の風潮を考えないといけない。システム化・コンピューター化の抱える問題もあり、コスト削減や規制緩和の流れも検討が必要との声が聞かれます。また、安いだけが良いのではなく、建築は利用する人、周辺の人などまちづ<りの中で位置づけ、社会的責務も念頭に置くことが大事とする意見も出されています。
 私たちは、このアンケート結果にもとづき、関係機関への意見反映と国民的議論をすすめ、再発防止と建築行政再生の取り組みをすすめるものです。
 
次へ