前年同期比プラス155円

「長期低落傾向に歯止め」

国民春闘共闘賃上げ集計

 全労連と純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会が3月18日発表した賃上げ集計によると、回答を得た173単組の単純平均は5371円、1・80%で、前年同期を155円、0.06ポイント上回りました。加重平均は5997円、1.95%。
 春闘共闘は「長期低落傾向に歯止めがかかり、財界・大企業の『春闘変質』『賃下げ』の主張をはね返しつつある」と指摘、前年実績を突破するため取り組みを強める方針です。
 規模別(単純平均)では1000人以上と100〜299人で額・率とも前年同期を上回っています。単産(同)では、JMIU(全日本金属情報機器労組)や建交労運輸・鉄道、日本医労連などが前年同期を上回りましたが、全労連・全国一般製造や生協労連、全印総連、民放労連は大幅なマイナスとなっています。
 パート・アルバイトなどの賃上げでは、生協労連を中心とする34単組の時間当たりの引き上げは単純平均で9.25円、0.69%。定昇相当分が回答の大部分を占めています。

5組合が前年上回る
私鉄大手の賃上げ

 私鉄総連の大手組合は3月17日を中心に春闘回答を引き出しました。関東大手は前年同額を確保。大手全体では5組合が賃上げ額で前年を上回り、臨時給回復をめざした組合のうち6組合が前年実績に上積みを果たしています。
 今春闘で私鉄総連は要求額を前年より200円引き上げました。輸送人員の減少などはあるものの、この間の経営施策によって企業収益は好転。大手組合はヤマ場で「同時同内容を基本に、従来を超える賃上げと臨時給の回復」を強く主張しました。関東大手では、賃上げで前年のかべを打ち破れませんでした。ただ、5組合とはいえ賃上げ額で前年実績を超えたのは、個別交渉になってからは初めて。東武労組は3月15日の踏切事故を受け、@組合の判断で交渉を中断A今春闘は産別の枠内での決着(関東大手と同内容)をめざす──としました。

一時金で過去最高額相次ぐ
大勢は賃上げ求めず、自動車と鉄鋼などJC回答、

 電機、自動車、鉄鋼など金属産業の大手労組は3月16日、2005年春季闘争の回答を引き出しました。賃金カーブを維持したうえで大半の組合が一時金増額を実現しました。自動車はトヨタなど10組合が満額回答、基幹労連の鉄鋼部門では年間233万円見込みのJFEを含め全大手が史上最高額となります。製造業大手の好調な業績を一時金に反映させた形です。
 金属労協(JC)の大手労組は一時金中心の取り組みとなりました。明確な賃上げを要求したのは、自動車の日本特殊陶業だけで、日産とヤマハは金額を公表しない「賃金改訂原資」要求です。JC全体では、3600組合中、中小など868組合が何らかの賃上げを要求しています。
 自動車では、トヨタが前年比9万円増の244万円、日産が7700円増の217万3千円、本田は4万8千円減の239万一千円。いずれも要求を満額獲得。日特はベア(是正分)1000円を確保、日産は昨年と同程度の原資を獲得しています。
 電機は、一時金要求を行った7組合のうち、6組合が前年実績を上回りました。日立は4.82カ月の144万4554円(約5万2800円増)を獲得し、三菱電機は10万5千円増(0.35カ月増)。企業業績に連動して支給額が決まる10組合の場合、16日時点で見込み額は公表していません。
 基幹労連鉄鋼部門は04春闘で2年分の定昇実施を確認しています。一時金も大手では住友金属だけが交渉(他は業績連動方式)し32万円増の182万円を獲得しました。JFEの233万円は自動車の本田に迫る水準です。
 同非鉄部門も過去最高額の一時金です。船重部門は三菱重工が2万円減、6労組中4労組が増額となりました。「連合通信」 
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