新たな局面にきた賃金確定のたたかい

能力・業績主義賃金導入にどう立ち向かうか

「だれもが安んじて職務に専念できる」賃金・労働条件を

2004年賃金確定闘争に全力
 
 京都府人事委員会が10月1日に勧告を出したもとで、 年末確定闘争が本番に入ります。 当局との関係では、 10月7日に要求書を申し入れ、 14日には第1回目の府職労交渉を行います。 確定闘争を前にして、 今、 公務員賃金をめぐって何が起こっているのか考えたいと思います。

  政府・総務省の政治的圧力とのたたかい

 今年の勧告が、 給料表や一時金などの改定を見送るとしたことにより、 5年間連続した 「マイナス改定」 をストップさせることができました。
 しかし、 寒冷地手当を国に準じて廃止し、 経過措置まで国に合わせたことは、 「京都らしさ」 などどこにもなく、 国の政治的な圧力に屈したものといえます。 寒冷・積雪地域に勤務する職員の生活実態から見て、 このようなことは断じて認められません。
 また、 今年の勧告で 「給与構造の基本的見直し」 や 「官民比較方法の見直し」 について言及していることも重要な問題として受け止めなければなりません。
 これらは、 「公務員制度改革」 にむけた政府の意向を受けて、 人事院が来年にむけた検討課題として打ち出したものであり、 2つの角度から検討して、 これまでの公務員給与制度を根本的に変えてしまおうというものです。 具体的な内容の第1は、 能力・業績を評価して昇給させる 「査定昇給」、 勤勉手当などの実績反映の拡大、 昇格基準の見直しなど、 限りなく成績主義賃金をめざす方向です。 第2は、 調整手当を廃止して給料表全体の水準を引き下げる一方、 最高20パーセントの地域手当を支給するということにより、 勤務地によって格差をもうける賃金制度の検討です。 ブロック別の給料表を作成して地域格差をつけるという方法も検討するとしています。
 こうした内容について、 京都府人事委員会が勧告の中でふれたということは、 今後、 京都府人事委員会や京都府当局に対して、 政府・総務省の圧力に屈することなく見識をもって対応するよう求めるとりくみが、 極めて重要になっているといえます。
 また、 勧告とは別に、 退職手当も今年の重要な課題になっています。 退職手当の水準については昨年で決着済みにもかかわらず、 国会で特定の議員が 「退職時の特別昇給はお手盛りである」 と質問しただけで、 人事院が特別昇給を廃止して総務省が地方にも押しつけてくるなど、 極めて政治的な介入といえます。

 府職労のたたかいの歴史と到達点に全面対立する攻撃に立ち向かう

 府職労は、 「11級制」 導入の際に、 府当局との間で 「全国トップグループをめざす」 との基本姿勢を確認し、 賃金体系・水準改善のとりくみをすすめてきました。
 調整手当についても、 地域間格差の問題、 人事管理上の問題、 勤務意欲の問題など様々な角度から議論を繰り返し、 任命権者と人事委員会、 職員団体の3者の努力で府民や府議会の理解も得ながら制度化してきたという、 長い歴史的なとりくみを経て現在の姿があります。
 それ以外にも、 様々な 「京都らしい制度」 を実現しています。 府民本位の行政を職場という集団的な英知を集めてすすめるため、 「誰もが安んじて職務に精励」 できる賃金・労働条件を実現してきたのが府職労の歴史と到達点です。
 今回の成績主義賃金や地域間格差の拡大という考え方は、 職場に差別と分断を持ち込み、 集団的な職場運営を困難にするとともに、 地域間に格差を持ち込むことによって勤務意欲を減退させ、 人事管理を困難にするものといえます。 私たちの立場とは根本的に相容れないものであり、 こうした動きと全面対決することが求められています。
 
 財界のねらう「新時代の日本的経営」とのたたかい

 財界は、 1995年に 「新時代の日本的経営」という方針を打ち出し、 日本の労働者を1割程度の 「長期蓄積能力活用型グループ」、 2〜3割程度の 「高度専門能力活用型グループ」、 それ以外の 「雇用柔軟型グループ」 に分けて、 一部の安定雇用労働者と大多数の不安定雇用労働者をつくりだし、 年収300万円時代の実現をめざして様々なとりくみをすすめてきました。
 その結果、 失業者が増大するとともに、 年収200万円以下の労働者が20パーセント近くになろうとしています。
 一方、 今年の6月3日に成立した 「地方公務員法及び一般職の任期付職員の採用に関する法律の一部を改正する法律」 によって、 地方自治体にも 「短時間任期付職員」 の採用が可能となりました。 このことは、 地方自治体の職場に非常勤職員や臨時職員に加えて、 低賃金・不安定雇用労働者をさらに拡大するものであり、 財界の 「新時代の日本的経営」 に沿ったものといえます。
 法 「改正」 が行われたもとで、 京都府においても条例化の動きが予想されますが、 実際の運用にあたっては十分注意しながら対応しなければなりません。

 小泉 「構造改革」 と全面対決するたたかい
 今回の攻撃は、 単独のものではありません。 「この国のかたち」 を変える小泉 「構造改革」 の大きな流れのひとつとして見なければなりません。
 2007年にむけて暴走がはじまっています。 憲法・教育基本法の改悪、 消費税の大増税と社会保障の抜本的な改悪、 郵政事業の民営化、 「公の施設」 など自治体業務の民営化、 地方税財政の 「三位一体改革」、 市町村合併と道州制の導入、 公務員制度改革など様々な策動が同時進行しています。
 こうした流れの一環として、 公務員賃金の抜本的な改革も位置づけられています。
 それだけに、 こうした小泉 「構造改革」 と全面的に対決するとりくみを強化することが極めて大切になっています。
 2004年確定闘争では、 当局との交渉に全力を尽くすとともに、 全国の仲間とともに様々な攻撃に立ち向かうとりくみを、 職場をあげて全力で奮闘しましょう。
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