求められる間接差別の禁止

厚労省の労働政策審議会雇用均等分科会

 厚生労働省が06年の男女雇用機会均等法改正を検討中。労働政策審議会の雇用均等分科会は法案内容を話し合っており、「間接差別の禁止」を盛り込むかどうかが大きな焦点です。
 一見すると男女に中立にみえるが、結果として一方の性に不利益を与える規定や基準などが「間接差別」。 @身長・体重を募集要件とするA転勤を昇進要件とするB福利厚生や手当などの支給で世帯主を要件とするC処遇の決定などで正社員を有利に扱ったり、パートを不利に扱う、などが代表的な間接差別の規定です。 現行の均等法は直接的な男女差別を禁止していますが、間接差別を禁じる規定はありません。このため、労働組合からは禁止規定の新設を求めています。
 厚労省の雇用均等分科会は9月に論点整理を行い、厚労省はこれに基づき法案をまとめる予定です。
 消極的なのが使用者で、「間接差別は分かりにくく、現場が混乱する。事例や判例を積み上げてから議論すべきで、今は時期尚早」と主張しています。


国連も「間接差別禁止」を勧告/均等法後も不十分な格差是正

 総務省の労働力調査によると、03年の女性パートは861万人で、女性雇用者の4割、パート全体の7割を占めます。呼称はパートでも、仕事は正社員と必
ずしも違うわけではありません。
 ところが、厚労省の賃金構造基本統計調査によると、女性パートの同年の平均時給は893円で、男性一般労働者の平均時給(2009円)を100とする44・5という低水準。
 この結果、パートを含む女性全体の03年の所定内給与は、男性を100とした場合65・3の水準にとどまっています。均等法が成立した85年に59・6でしたから、少しずつ格差は縮小していますが、とても十分とはいえません。是正を妨げている原因の第一と考えられるのが間接差別。経営側の「禁止は時期尚早」という姿勢は差別容認と同じです。
 国連女子差別撤廃条約委員会は03年、日本のこうした現状に懸念を表明。間接差別の定義を盛り込み国内法を整備するよう勧告しました。間接差別の禁止が早急に求められます。


●女性管理職と企業業績

 2000年国勢調査によると、管理職全体に占める女性割合は民間11・3%、公務5・5%で全体では10・9%です。
 「女性管理職が増えると企業業績がよくなる」──21世紀職業財団が03年、こんな調査結果を発表しました。女性管理職比率が5年前よりも大幅に増えた企業では、5年間で売上指数が173・7に上昇しました。逆に女性管理職比率が大幅減の企業では、売上指数も83・5に後退しています。 男女差別を是正することは企業経営にとってもメリットがあることを示しています。「連合通信」

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