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2016年01月26日

今年を全面解決の年に
日本IBM争議

解雇裁判は3月28日判決

 年収最大15%もの賃金減額の末、問答無用のロックアウト解雇――。「リストラの毒味役」を自認し、新手のクビ切りを次々に行ってきた情報システム大手、日本IBMを労働組合(JMIU)が追い詰めている。極端な賃金減額を可能とする人事制度改定の違法性が争われた裁判では昨年末、同社は判決直前に自ら誤りを認め、原告については減額前の賃金水準に戻すと約束した。3月28日には解雇無効を訴える裁判(第1・2次)が判決を迎える。組合は「今年を全面解決の年に」と決意を固めている。

 「成果主義」の相対評価を元に年収換算で10~15%もの賃金減額を可能とする人事制度の是非を問うた裁判で、日本IBMは昨年11月、請求認諾を表明し、裁判を終えた。原告側代理人の岡田尚弁護士は「認諾は『私が間違っていました』と自ら認めること。判決が出てしぶしぶ従うのとは違う。当事者にとっては判決以上の意味がある」と語る。会社側はもはや同じ反論はできないということだ。

 同社は、裁判で争われた13年度の賃金減額分については昨年中に原告に返還。1月14日の団体交渉では、減額前の賃金に戻し、残業代や一時金の不足分を支払うと回答した。

 しかし、同社は裁判で自ら制度の誤りを認めておきながら14年度減額分の返還・是正には応じていない。原告でない組合員への返還・是正、制度の見直しをかたくなに拒んでいる。そのため、組合は第2次提訴の準備を進めつつ、交渉を継続する構えだ。

▲解雇裁判が大詰め

 そんななか、組合員35人が解雇無効を訴える裁判が大詰めを迎えている。

 IBMは08年に国内1300人もの社員を退職に追い込みながら、それ以降も賃金減額と退職勧奨を強めてきた。退職を拒否した人には達成不可能な目標を課し、「業績不良」を理由に自主退職に応じない人を解雇した。その手法も、業務上の面談を装いながら解雇を通告して追い出し、翌日以降の出勤を禁じるという乱暴さから、「ロックアウト解雇」と呼ばれる。

 組合は「個人の業績を口実にしながら、実際は人員削減のための整理解雇だ」と主張。整理解雇に必要な要件を満たさず、無効と訴えている。

 解雇通告についての団体交渉を同社が拒否した事件では、昨夏、「再発を抑制する必要がある」との救済命令が中央労働委員会から出され、同社は謝罪文を社内に掲示している。

▲日本の雇用に影響

 JMIUの三木陵一書記長は「IBMの大歳元社長は『日本の人事政策の毒見役になる』と言った。これはIBMのリストラが成功すれば日本中に広げていくという意味。日本の労働者の雇用と暮らし、権利を守る大事な闘いだ。何としても全面解決の年にしなければならない」と語る。

 解雇裁判の判決は3月28日。公正判決へ、東京地裁への要請行動など、支援の輪を広げるよう呼び掛けている。(連合通信) 

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