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2016年04月18日

『イス取りゲーム』を強いる構造」
待機児童問題

忘れちゃならない保育の質

 「保育園探し=保活」については、多くの人から苦労談が聞かれます。「入園可能な保育園の情報はママ友にも秘密にする」という本音を漏らした国会議員もいました。このような「親たちに『イス取りゲーム』を強いる構造」(保育関係者)は一刻も早く解消されなければなりませんが、国の対応は依然としてにぶいままです。

▲20万円に届かない月給

 「イス取りゲーム」が生じる理由は「保育士不足」。人手不足で、「受け皿」を拡大したくてもできない保育所が多いのです。

 2001年に政府が打ち出した「待機児童ゼロ作戦」以降、国は規制緩和を推進してきました。保育士一人当たりの児童数はこの10年で増えたにもかかわらず、賃金は月額20万円に届きません。全産業平均に比べ約9万円も低く、保育士確保を困難にしているのです。

 保育士の有効求人倍率は2・44(2016年1月)と全産業平均のほぼ倍。募集しても人が集まらない状況が続いています。

▲「つめ込み保育」加速に悲鳴

 3月末には、「保育園落ちた」ブログへの反響の大きさに押された政府が保育士給与の「2%アップ」を「緊急対策」として発表しましたが、金額に直せばわずか4000円弱。野党4党が提出した保育士処遇改善法案の「5万円」に遠く届かない金額です。
 保育士の処遇改善なしには、待機児童問題は「解消」されない。それは保育関係者と待機児童の親たちとの共通理解となっています。

 それにもかかわらず政府の「緊急対策」には(1)小規模保育の受け入れ児童の3人増(2)地方自治体の「人員配置」の自主基準撤廃(3)「無資格者(幼稚園小学校の教諭)の導入――などが盛り込まれました。
 ここ10数年の規制緩和をさらに加速させる内容に「これ以上の『つめ込み保育』はもう限界」という悲鳴が上がっています。

▲無認可の死亡事故は2倍

 「赤ちゃんの急死を考える会」の阿部一美さんは、1歳7カ月の長女を無認可での保育事故で失いました。無理やりうつぶせ寝にされた結果、昼寝中に死亡してしまったのです。

 厚労省の統計では2004年から14年の死亡事故で計160人の子どもが亡くなっています。そのうち「認可外」の死亡児童数は「認可」の2倍です。死亡児の年齢で一番多いのは0歳。定員枠が「認可」に比べ広く、面積基準も狭い「認可外」の「つめこみ保育」が背景にありそうです。

 阿部さんは現在4歳になる長男を認可保育所に預けています。長女に比べて、「多くの人の目と手に守られている」と感じているといいます。

 保育園で息子がその日に体験したことを保育士から聞くのが楽しみだという阿部さん。「保育士さんは働く親たちにとって『子育てをともに楽しむ仲間』。私たち親も処遇改善に向けてともに声を上げていきます」 (連合通信) 

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