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抑止力一辺倒では平和守れず |
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「市民的常識で考えよう」 |
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北朝鮮の核兵器開発や相次ぐミサイルの発射、中国による南シナ海の軍事拠点化など、東アジアの安全保障環境が悪化している。日本弁護士連合会が安保法制成立から1年の節目で開いたシンポジウム(9月16日、都内)で、元防衛官僚の柳澤協二氏は「市民的常識で安全保障を考えることが大事だ」と述べ、軍事一辺倒の対応では逆効果になると強調した。 オバマ米大統領は今夏、「核先制不使用」の宣言を検討したものの、閣僚や専門家、日韓政府などの反対に阻まれ、断念したと伝えられる。特に日韓両政府は北朝鮮の「核の脅威」を強調する。これに対し、柳澤氏は「北朝鮮が核兵器の開発を進めるのは、米国からの攻撃を防ぐため。そうであれば米国が『核を使わない』『滅ぼさない』というメッセージを送れば、北朝鮮は核を持つ意味がなくなる。(核先制不使用という方向性は)現実的な安全保障のツールとして生かしていくべきではないか」と提言した。 核先制不使用に反対した専門家や与党議員らは、昨年の安保法制成立で「抑止力が強まった」と説明していた。こうした「抑止力一辺倒」ともいえる主張に対し、「1年を経て、中国や北朝鮮との安全保障環境は何もよくなっていない。抑止力というのは、相手側の恐怖をあおり、『より強くならなければならない』という不安を駆り立てる。それがこの1年間で起きていることだ」と述べた。 柳澤氏は「専門用語でいう『安心供与』、相手の不安を取り除くことが必要。威かくして封じ込めるだけでなく、『これ以上は許さないけれども、ここまでなら、ご褒美をあげる』などの両面を持つことが大事。安全保障の議論は、視野の狭い官僚や専門家任せにしていてはいけない」と強調した。 さらに、柳澤氏は「国のあり方についての対案」を示すことを呼びかける。日本が米国の核の傘の提供を求めるということは、自国への核攻撃は許さないけれども、敵対する国には核兵器を落としてもいいという理屈になる――としたうえで、「日本はそのような国でいいのか。安全保障の論議はかなりの部分、健全な市民的常識で解決できる。こうした意識が広がれば平和を実現できる」と語った。(連合通信) |
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