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2016年06月.13日

消費税増税延期のレール敷き
経済ニュースの裏側/なんでも官邸断の暴走

世界経済の危機演出

 5月30日付の日本経済新聞(電子版)に載った鈴木亮編集委員の記事によると、昨今の「あらゆることを官邸が決める図式」を「なんでも官邸断」と呼ぶらしい。G7首脳会議(伊勢志摩サミット)は、その誇示のためのセレモニーだったのか。

 共同宣言のthe three pronged approach(3方面からのアプローチ)を、外務省が「3本の矢」と意訳してみせたのはまだご愛嬌。安倍首相は、各国首脳との昼食会で「リーマン級の危機」を持ち出し、合意が得られなかったにもかかわらず、5月27日の議長会見で、こう力説した。

 「世界経済が、通常の景気循環を超えて『危機』に陥る、大きなリスクに直面している。私たちG7は、その認識を共有し、強い危機感を共有した」とし、「日本として何をなすべきか、消費税率引き上げの是非も含めて検討」すると続け、増税延期のレールを敷いた。

 参議院選挙に勝って憲法改正に道をつけるために、なりふり構ってはいられない。だが、消費税増税を再延期すれば野党から「アベノミクスは失敗した」と言われてしまう。そこで安倍官邸は、増税延期の条件としていた「リーマンショックや大震災のような事態」のうち、「リーマン級の危機」がくることにした。

 他国の首脳からは即座に「危機とまで言うのはいかがなものか」と異論が出され、共同宣言も「世界経済の回復は継続している」とまとまった。首相の説明は、だから、虚偽というほかない。

 ところが先の日経記事は、危機を主張して「消費増税再延期の下地作りに成功」したことが、ひのき舞台での「果実」だとし、「官邸断」による株価上昇に期待してみせた。まるで「平時の大本営報道」である。

 安倍内閣が5月23日に閣議決定した「月例経済報告」は、「世界の景気は……緩やかに回復している。先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される」としていた。それがわずか3日、政府部内の調整もないまま、「リーマン級の危機前夜」へと官邸が独断で真逆に変えた。

 政局の都合で判断を曲げて恥じない官邸の暴走こそ、この国が直面する危機の源ではないか。そんな官邸に懸命にしっぽを振るかのような、一部マスコミの姿も哀しい。(連合通信) 

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