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2016年06月.27日

TPP批准に反対を
米市民活動家が連帯呼び掛け

選挙モードは「好機だ」

 TPP(環太平洋経済連携協定)批准に反対している米国の市民団体パブリックシチズンのメリンダ・セントルイスさん(貿易担当)がこのほど来日し、米国内での反対運動の広がりを報告した。日米がともに選挙モードに入っていることを「好機だ」とし、両国で連携して運動を進めようと呼び掛けた。(写真・T P P反対で日米市民の連帯を呼び掛けるメリンダさん6月19日、都内で)

▼共和党支持者も反発

 メリンダさんは「米国では党派を超えてTPP反対の声が広がってきた。大統領選挙でも大きな争点になっている」と語った。

 ある世論調査(カデル・アソシエイト・アンド・サーベイ)によると、大統領選でTPP反対を公約している候補者を支持するかどうかを聞いたところ、民主党支持者では50%が「イエス」と回答。共和党支持者では64%に達している。

 米国民が反対する理由について、メリンダさんは(1)TPPは大企業にしか恩恵をもたらさない(2)人権や食の安全、環境などを脅かす(3)秘密が多すぎる(4)雇用喪失と格差拡大をもたらした過去の自由貿易協定と似ている――などの認識が広がってきたためと説明した。

 政治家はこうした声を無視できず、結果として、民主・共和両党の大統領候補予定者(ヒラリー・クリントン氏とドナルド・トランプ氏)はTPP反対を言明している。

 メリンダさんは、日本の市民運動に対してこう呼び掛けた。

「多国籍企業の側は連帯しており、私たち市民の側も連帯すべき。この選挙モードの中で人々と対話することが必要で、これからも手を取り合っていきましょう」

▼ISDで日本が危ない

 メリンダさんは、報告の中で特にISD条項の危険性を訴えた。多国籍企業が進出した国の規制や制度によって、想定した利益が上げられなかったときに相手国政府を国際仲裁機関に訴えることができる制度だ。

 最初に紹介したのは、米国政府がカナダの企業(トランス・カナダ社)から訴えられたケースである。米国・カナダ間に石油パイプラインを敷く事業を、オバマ政府が却下。今年に入って同社は150億ドル(約1兆5600億円)の支払いを求めて米政府を提訴している。

 メリンダさんは「カナダの先住民族が環境破壊になるからと反対し、私たちも環境保護の観点から運動し、やっと去年勝利しました。しかし、米国政府は訴えられたのです」。政府は環境活動家らの意見も聞いて不許可を判断したが、トランス・カナダ社は「それは恣意的な理由だ」として提訴に踏み切った。環境や人権よりも企業利益を優先させる典型事例である。

 このほか、石油企業や金属精錬企業がエクアドル、ペルーなどで汚染・環境破壊を引き起こしながら、逆に規制強化や撤退を迫る政府を訴えた事例も紹介し、最後に「ISD条項に対する日本政府の認識は甘い」と批判し、こう警告した。

「日本には既に6450もの米国企業子会社があり、これらは日本政府にISD攻撃を仕掛ける力を得ることになる。米国企業と弁護士らがもうけるための新たなシステムであることを知るべきだ」 (連合通信)


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