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「敗戦末期の旧日本軍に似てきた」 |
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黒田日銀の「大本営発表」 |
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敗戦末期の旧日本軍に、いよいよ似てきた。黒田日銀の異次元緩和とその「成果発表」のことである。 7月29日には、上場投資信託(ETF)の買い入れ額を年6兆円に倍増する追加緩和策を決めた。黒田東彦総裁は記者会見で、誰かの口真似なのか「物価目標は道半ばだ」とし、安倍政権の経済政策と「相乗的な効果を発揮する」と述べたが、6月の消費者物価指数は4カ月連続のマイナス。黒田日銀が2013年4月に掲げた「物価上昇率を2年以内に2%にする」という目標は、道半ばどころか、頓挫は明白だ。 日銀のETF大量買い取りで思い出されるのが、私たちの年金の積立金をハイリスクな株式購入につぎ込んだ暴挙である。その結果、2015年度には5兆3098億円もの運用損が出て「消した年金」と批判を浴びた。同じことを、今度は日銀の資金でやろうというのである。 八百長まがいの公金投入で株価を吊り上げ「アベノミクスの成果」だと喧伝する。そんな手口は、すでに投資家にも見透かされつつある。 本連載で筆者は、異次元緩和の発表と報道は、悪名高い大本営発表の平時版だと繰り返し指摘してきた(14年5月10日付など)。当時はごまめの歯ぎしりだったが、今や報道の潮目も変わりつつある。 『毎日新聞』は7月30日付社説で「異次元緩和の軌道修正こそ急ぐべきだ」とし、『愛媛新聞』7月31日付社説は「目先の株価維持を重視しているとしか思えない政権とは一線を画すべきだ」と踏み込んだ。 『朝日新聞』の原真人編集委員は、7月5日付同紙で、日銀の追加緩和を旧日本軍のインパール作戦になぞらえる専門家の声を紹介。「当時、大本営は国威発揚のため楽観的な見通しばかり発表し、作戦の失敗を国民に明らかにしなかった。いまの日銀もまた目標実現や緩和効果について根拠に乏しい楽観的な大本営発表を続けている」と喝破した。 まさに正鵠(せいこく)を射る指摘だが、大本営発表が力を持ったのは当時のマスコミが無批判に垂れ流したからでもある。 インパール作戦でも年金運用でも異次元緩和でも、軍部や政府の間違いのツケは庶民に回る。真実を伝える報道の責任は、ますます重い。(連合通信) |
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