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2016年12月21日

銀行カードローンへの対策を
貸金業法改正から10年

新たな多重債務被害が進行

 消費者金融(サラ金)による多重債務被害を食い止めようと2006年12月に成立した改正貸金業法。それから10年が経過し、サラ金被害は確かに減った。一方、銀行が貸金業者と手を組んで行うカードローンは同法の適用除外とされ、過剰貸し付けが社会問題になりつつある。12月11日に東京で開かれた貸金業法改正10周年記念集会では、参加者から口々にその危険性が訴えられた。

 2006年改正のポイントは、(1)上限金利の引き下げ(29・2%→15~20%)(2)貸し過ぎ防止の総量規制(年収の3分の1を超えて貸せない)(3)業者への規制強化(国家資格の貸金業務取扱主任者の配置義務化)――などである。

▼総量規制は適用除外?

 その結果、多重債務者やそれが原因と見られる自殺者、自己破産件数は激減している【表1】。集会で講演した聖学院大学特任講師の木村裕二さんは、データを示しながら「改正貸金業法は成果を挙げた」と指摘。一方、2016年は自己破産件数の減少に下げ止まりの傾向が出てきたことを紹介し、その背景には貸金業者による銀行への保証事業の大幅増加【表2】があることに注意を促した。

 銀行がカードローン事業を展開し、その際の信用保証業務を貸金業者に丸投げする形が広がっているのだ。銀行は貸金業法の適用が除外されていて総量規制のしばりを受けない。借り手の年収に関係なく貸し出し上限を「300万円」「500万円」などに設定しているケースが多いという。

 木村さんは「今や多重債務問題を適切に把握するには、銀行カードローン事業を視野に入れなければならない」と指摘する。既に貸金業者による保証事業は年5兆円を超え、貸し付け事業に匹敵する規模になっているためだ。その上で、こうした事業形態に対しても、貸金業法の総量規制の趣旨に沿った対策を講じる必要があると訴えた。

▼当時は予想できず

 日弁連元会長で反貧困ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士は、「2006年の法改正で銀行からサラ金への資金の流れは減ると思ったが、信用保証の形で銀行が前面に出てくるとは予想できなかった」と語った。

 多重債務問題に携わってきた弁護士や司法書士からも、「国民の困窮が進むなかで銀行がどんどん過剰融資しているのは問題だ」(新里宏二・日弁連多重債務問題検討ワーキンググループ座長)、「今の上限金利(15~20%)でも高い。この引き下げと併せて銀行ローン問題にも取り組んでいく」(小澤吉徳・日本司法書士会連合会常任理事)などの発言が相次いだ。(連合通信) 

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