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「まずは安保法を発動」 |
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「駆け付け警護」の危うさ |
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政府は11月15日、南スーダンに派遣される陸上自衛隊部隊に「駆け付け警護」「宿営地の共同防護」の新任務を付与することを閣議決定しました。第1陣となる約130人が20日午前、青森空港(青森市)から出発。東京・羽田空港を経由して21日には同国の首都ジュバの宿営地に到着します。残る220人は12月14日までに出発する予定です。同国では7月に大規模な内戦が発生、その後も政府軍兵士らによる襲撃事件が起きています。停戦合意などの、国連平和維持活動(PKO)への参加原則は既に崩れ、戦死の危険が格段に高まっているのに、政府は「永田町よりは危険だ」などとごまかしの答弁を続け、昨年秋に強行成立させた安保法制(戦争法)の実績づくりを急いでいます。 ▲変化したPKOの役割 第2次大戦後、米ソ両大国の対立が深まり、国連が各地の紛争に対処できない状態が続きました。そんななか、PKOは当事国の合意を前提に、有志国でつくる軽武装の部隊が停戦監視などの平和維持活動を担ってきました。その活動が評価され、1988年にはノーベル平和賞を授与されています。 日本が初めて参加したのは1992年です。戦後初の自衛隊の海外派遣に国会は紛糾。停戦合意、当事者の受け入れ同意、中立的立場の厳守――などの参加5原則を確認し、カンボジアに派遣されました。 その後PKOは岐路を迎えます。90年代にアフリカのルワンダで起きた大虐殺を防げなかったことへの反省から、「住民の保護」という任務が加わりました。そのためには戦闘行為も辞さないということです。 日本は2011年以降、南スーダンに陸上自衛隊を派遣し、道路整備や医療活動などに従事しています。 ▲混迷する南スーダン 停戦合意や中立厳守という従来の原則と、「住民保護」の任務との矛盾があらわになる事件がこの夏、発生しました。首都ジュバで起きた、南スーダン政府軍兵士らによるホテル襲撃事件です。 政府軍兵士ら約100人が民間人殺傷、強姦などの蛮行を働いた事件でした。近くにいた中国など3カ国の部隊は救援要請に応じませんでした。最近では司令部の国連南スーダン派遣団(UNMISS)はケニア出身の軍司令官を更迭し、反発したケニア政府は部隊を撤退させるなど混迷を深めています。 外国軍の混成部隊であるPKOにとって、当事国の正規軍と銃火を交えることは非常に危険です。同国では、外国駐留軍である国連への反発も強く、もし国民を殺傷すれば反国連の世論に火を付け、部隊の駐留が危ぶまれる事態にもなりかねません。 ▲自衛隊員に迫る危険 一方、反政府派のマシャール元副大統領は海外脱出後も勢力回復を宣言しており、内戦の拡大も懸念されます。 政府軍はもちろん、「国に準ずる組織」である反政府軍と、日本の自衛隊が交戦することは、憲法が禁じる「武力行使」そのものです。駆け付け警護などの新任務は隊員を危険にさらし、重大な憲法違反を生じさせます。政府はこの不都合な真実を隠すために、「現地は平穏」「リスクは高まるわけではない」などとごまかしています。 効果も大義も乏しい、新任務付与を政府はなぜ急ぐのか。清水雅彦日本体育大学教授(憲法)は「まずは安保法を発動させることが狙い」と指摘しています。 ▲民生支援こそ日本の強み 9月に首都ジュバなどの現地で支援活動を行った日本国際ボランティアセンター(JVC)代表理事の谷山博史さんは次のように述べます。 「現地では日本の自衛隊の活動を知っている人はほとんどいない。今工事が停止している、国際協力機構(JICA)によるナイル川の架橋工事など、日本の民生支援に高い信頼が寄せられていると聞いている。そういう信頼が(新任務で)損なわれてもいいのか」「日本は大統領派と副大統領派の双方と話ができる立場。(植民地支配をしてきた)欧米諸国とは全然違うところ。それこそが日本の強みではないか」(連合通信) |
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