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2016年06月.06日

「経済成長も雇用もマイナスに」
TPPの影響

経済学者ジョモ氏が指摘

 TPP(環太平洋経済連携協定)によって日本の経済と雇用はよくなるのだという。政府は昨年12月、「TPP効果13・6兆円、雇用は79・5万人増」との試算を発表し、バラ色の未来を描く。だが、長年国連で仕事をしてきた経済学者はこのほど、「(こんな数字がまかり通っていることに)大変驚いた」と、あきれ顔で語った。

▼楽観的過ぎる米国試算

 この経済学者はジョモ・スンダラム氏。マレーシア出身で、2005年からは国連経済社会局の経済開発部事務局長や、国連食糧農業機関の経済・社会開発局事務局次長を歴任。国際開発経済連合の創設者でもある。07年には、経済学のフロンティアを切り開いた若手に贈られるワシリー・レオンチェフ賞を受賞した。

 ジョモ氏は5月末、TPPに警鐘を鳴らすために来日した。今後も交渉参加国を回って訴えるという。

 日本での講演と記者会見では、TPPの影響試算について問題提起した。今年2月に発表されて、話題になった米タフツ大学グローバル開発・環境研究所の試算にも関わったと述べ、その内容を紹介した。日米両国は経済成長も雇用もマイナスの影響を受けるという結果が出ている(表)。

 米国政府が援用している楽観的なピーターソン研究所の試算に対し、より現実的な影響を探る目的で行ったもの。ジョモ氏は「ピーターソン研究所の試算は完全雇用が維持され賃金は変化しないなど、あり得ない前提に基づいているからだ」と説明した。そのため、タフツ大の試算では、国連グローバル政策モデルを採用したという。

▼あり得ない日本の試算

 TPP交渉の参加国は多かれ少なかれ、楽観的な試算を示して国民の理解を得ようとしている。米国も例外ではない。

 その米国でさえ、経済成長の押し上げ効果は15年間で0・15~0・5%程度でしかない。農産物などの関税引き下げや撤廃を飲まされた日本で2・59%もの成長を見込むのは、現実的なのか。米国政府が使っている試算よりもあり得ない数値ということだろう。 (連合通信) 

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