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2016年10月04日

大増税への次の一手
エッ!配偶者控除がなくなるの?

どうなる暮らしへの影響

 無職あるいは低所得の配偶者をもつ労働者に適用される配偶者控除・配偶者特別控除の廃止を国が検討しています。廃止になった場合、今後の生活にはどのような影響が出るのでしょうか。

▲4人に1人が適用者なのに…代替の夫婦控除はあてになるのか?

 現時点で、配偶者控除・配偶者特別控除の適用者は合計約1500万人。全給与所得者の4人に1人に上ります。控除がなくなれば、年収600万円の会社員の夫と専業主婦の妻の世帯で年7万円程度の増税になる計算です。今後の生活への影響は小さくありません。

 国が配偶者控除に代わって新たに導入を検討しているのが「夫婦控除」です。これは配偶者の収入にかかわらず、夫婦2人で同額の控除を受けられるというもの。これまで配偶者控除がなかった共稼ぎ夫婦なども対象になります。

 しかし、非婚カップルや一人親、単身者には「恩恵」がなく、従来指摘されてきた「納税格差」は解消されません。また、夫婦控除の対象世帯は少なく見積もっても1800万世帯。控除額を低額に設定するか、所得制限を設けて対象者を絞らなければ、配偶者控除の廃止による増税分(約6000億円)が消し飛んでしまいます。そのため、夫婦控除の恩恵が及ぶ範囲は限定的にならざるを得ないと指摘されています。

▲主婦いじめで終わらせるな社会サービス拡充とセットで

 国は「女性の活躍促進」を今回の配偶者控除廃止の目的の一つとしています。そのため短時間労働者の社保適用対象も今秋から拡大されました。

 「手取りが減らないように」とパートタイマーがフルタイム勤務に切り替えたり、「控除廃止分の穴埋めに」と専業主婦が就労する例は今後増えるかもしれません。しかし、中にはお年寄りや小さな子どもを抱える家庭もあります。外へ出て女性たちが働く間、彼女たちに代わって面倒をみてくれる高齢者施設や保育所の数は十分でしょうか。今年2月に「日本死ね」ブログで指摘された保育所不足もいまだに解消されていないのです。

 専業主婦たちを労働市場で「活躍」させるのならば、社会保障サービスの拡充は大前提です。「控除ありき」で設定されてきたパート労働者の賃金も見直すべきでしょう。

▲基礎控除額の大幅拡大を5カ国中最も厳しい単身者への課税

 「既婚/非婚」「男性/女性」「共働き家庭/片働き家庭」の間に格差を生まない、誰にとっても「中立な税制」とはどのようなものでしょうか。

 貧困問題に取り組む団体などからは「基礎控除拡大による課税最低限の大幅引き上げを」の声が聞かれます。生活保護の年間給付額程度までの引き上げを主張する専門家もいます。公平な所得再分配実現のために、重要な指摘といえるでしょう。(連合通信) 

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