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2016年12月08日

カジノ解禁誰のため?
経済ニュースの裏側

きっかけ維新議員の発言から

 サラ金を消費者金融と言い換えたことを、ふと思い出す。与党が11月29日、強引に審議入りを決めた統合型リゾート(IR)整備推進法案のことである。Integrated Resortの略で、カジノに劇場、ホテルなどを併設したもの。カジノ解禁をIR整備と言い換えるところに、やましさが透ける。

 伏線はTPPの国会審議だった。与党に協力した日本維新の会の馬場伸幸幹事長が、カジノ解禁法案に「道筋を付けてもらいたい」と自民党に要求。二階俊博幹事長が「真剣に受け止める」と応じ、調整が加速した。

 維新のお膝元である大阪市は、同市此花区の人工島「夢洲」の北側にIRを誘致し、南側で万博をしようという絵を描く。関西経済同友会は、「年7569億円の経済効果」と皮算用する(11月22日付朝日新聞大阪本社版)。

 東京都の小池百合子知事も、「東京に魅力をつけるため、IRがあっていい」と前のめり。築地移転問題では石原都政の負の遺産にメスを入れるが、カジノでは石原元知事の「お台場カジノ構想」をひきつぐのか。いや、知事や市長は脇役で、巨大利権に群がる企業こそ主役なのだろう。

 推進派が引き合いに出すのが、カジノで潤う「シンガポールの成功」だ。他方アメリカでは、カジノで栄えたアトランティックシティ(ニュージャージー州)で12あったカジノの5つが閉鎖し、市の経済は破綻に瀕している。

 何が明暗を分けたのか。静岡大学の鳥畑与一教授は、「カジノが経済活性化に貢献するかどうかは、その地域の外から、どれだけ顧客を獲得できるかにかかっていることになる」と指摘する(11月7日付読売新聞)。カジノ利権の源泉は、賭けに負けた客から巻き上げたカネ。地域住民から巻き上げれば地域経済は衰退する。シンガポールの成功の源泉は、「中国富裕層の負け金」(鳥畑教授)なのだ。

 安倍政権はIRを成長戦略に位置づけるが、カジノでは、負けた客のカネが勝った客と運営業者に移転するだけで、何の富も生まない。日本の観光に根づく「おもてなし」の精神にそぐうとも思えない。
 ラスベガス・サンズなど海外カジノ企業に日本を売り渡すことにもなりかねない法案に、厳しいチェックが必要だ。(連合通信) 

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