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2016年08月.29日

「新基地建設計画を放棄せよ」
沖縄レポート

米退役軍人の決議に思う

 「沖縄の人々に対するこの露骨な差別的扱いに米軍が加担している状況を、われわれは米軍の一員であった者として恥じ、強い怒りを覚える。よって、平和を求める元軍人の会は、高江ヘリパッドの建設工事再開を非難するとともに、この恥ずべき反民主的で差別的な行為に米国は一切加担しないこと、米国はこのような犠牲を払ってまで新基地建設を望まないこと、また米国は日本に対し辺野古および高江における新米軍基地の建設計画の放棄を求めるとの意思を、米政府、特に米軍が日本政府に伝達するよう要請する」

 8月13日、米カリフォルニア州バークレー市で開催された平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」の年次総会での全会一致による決議である。VFPは全米に120の支部、海外に140の支部を持つ退役軍人らでつくる組織で、世界中に8000人の会員がいる。

▼沖縄県民を支持

 総会には20の決議案が提案され、その9つ目が「アジア太平洋地域の平和と持続可能な民主主義の基軸」で辺野古についてのものだった。高江の決議は、現地での事態の急変を受けて滑り込みで提起し、20番目の決議案として認められた。

 第9決議はVFPの全支部に対し沖縄県民を支持するよう求め、それぞれの地域社会で以下の3点を決議するよう奨励した。(1)普天間の第1海兵航空団を沖縄県から撤去すること(2)沖縄県民の民主的権利を尊重して、新基地建設工事を中止し、新基地建設計画を撤回すること(3)事故率の高いオスプレイを沖縄県から全機撤収すること。

 VFPの運動が米国の軍事政策をただちに変えることにはならないだろう。しかし、「それぞれの地域社会で決議するよう奨励する」ことは重要だ。現に昨年9月にバークレー市議会で、12月にマサチューセッツ州ケンブリッジ市議会で決議された。ワシントン州シアトル市議会でも準備が進められている。

▼沖縄差別を問い続ける

 その現場、やんばるの森に広がる米軍北部訓練場では、新たなヘリパッドの建設工事が7月22日に始まって1カ月が過ぎた。砂利などを積んだ大型トラックが、何台もの警察車両に守られて県道を進んで来る。闘争現場の人たちは「大名行列」と呼ぶ。ゲートでは暴力的な住民排除が繰り返されている。森林管理署との事前協議がないままの立木伐採、法的根拠のないテントや私物の撤去・押収、道路封鎖もあった。8月6日は安倍首相の妻、昭恵氏が突然テントを訪問して波紋を呼んだ。20日には地元紙記者が15分間、機動隊に監禁状態に置かれ取材妨害を受けた。これらの事実を日本の大手メディアはほとんど報じない。

 それぞれの地域の議会や議員に、沖縄の問題について問い、いかに行動させるか。それが、沖縄差別の加害者であることをやめることではないだろうか。VFPの取り組みから学ぶことは多い。(ジャーナリスト 米倉外昭)

〈用語解説〉VFP

「平和のための退役軍人」という非政府組織。核軍拡競争が激化した1985年に10人で結成し、2003年のイラク侵略を機に8000人にまで増えました。世界平和を実現するため、(1)戦費に関する人々への啓蒙(2)米国による他国の紛争への介入阻止(3)軍拡競争の中止と核兵器の削減(4)退役軍人と戦争犠牲者に対する公正な処遇(5)国内政治の手段としての戦争の廃止――を掲げています。

機動隊による記者排除に抗議沖縄のマスコミ労組高江のヘリパッド建設問題

 沖縄県マスコミ労働組合協議会と新聞労連沖縄地連、民放労連沖縄地連の3者は8月23日、連名で「東村高江のヘリパッド強行建設と報道の自由侵害」に対する抗議声明を発表した。

 危険な米軍輸送機オスプレイの訓練が住民の生活環境悪化をもたらしているにもかかわらず、住民を排除して同機が離発着するヘリパッドの追加建設を強行する姿は「民主主義国家とはとうてい言い難い」「安倍政権の横暴を断じて許すことはできない」と厳しく批判。その上で次のように訴えている。

                                  ○

 こうした中、報道の自由までもが公権力によって奪われるという、あってはならないことが起きた。8月20日、抗議活動を取材中の琉球新報の記者と沖縄タイムスの記者が機動隊によって強制排除され、機動隊員の人垣と車両の間に閉じ込められ取材機会が奪われた。記者は身分を明らかにし、会社名を訴えたにもかかわらず、解放しなかった。現場で起きていることを正当に記録し、伝えていくという使命を全うする我々を力で抑え込み、国家権力が都合の悪いことを隠し、報道の自由の根幹を侵害する許し難い行為である。

 報道の自由を脅かす行為は、工事再開の日(7月22日)も行われている。県が管理する県道を警察が一方的に封鎖し、反対する住民に限らず、一般に往来する人に加え、われわれマスコミも対象となった。

 報道の自由は憲法の下に保障されているものであり、時の権力がそれを脅かすとなれば、われわれは断固それを拒否し、ペンとカメラで政権の横暴に対峙(たいじ)していく。

 警察法第2条には「日本国憲法の保障する個人の権利および自由の干渉にわたる等その権限を乱用することがあってはならない」と明記されており、明らかに法の精神からも大きく逸脱する異常事態である。われわれは、高江ヘリパッドの工事再開に反対するとともに、国家権力による報道の自由侵害に断固抗議する。

取材妨害に抗議新聞労連が声明

 新聞労連(小林基秀委員長)は8月24日、「警察による新聞記者の拘束、排除に強く抗議する」との声明を発表した。沖縄の地元紙2紙の記者に対する強制排除と一時的な身柄拘束は「国家権力による報道の自由への重大な侵害だ」と批判している。(写真は、高江ヘリパット建設強行に抗議する住民)

 2紙の記者は、東村高江での米軍ヘリパッド建設に反対する住民を取材中だった。声明によると、記者は腕をつかまれたり背中を押されたりして撮影を妨害された上、警察車両の間に閉じ込められて自由な取材機会を奪われた。

 警察側は「報道を規制する意図は全くない」と説明しているものの、「記者は腕章や社員証を提示して社名や身分を名乗り続けたと説明しており、現場の状況から考えて記者だとの認識が持てなかったとは考えづらい」と指摘。警察による意図的な取材妨害に当たるとの見方を示している。(連合通信)


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