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2016年03月07日

税理士法人大手を書類送検
東京地検、労基法違反で

驚くばかりの長時間労働

 国内4強の一角を占める「EY税理士法人」がこのほど、36協定をはるかに超える時間外労働をさせていたとして、東京地検に書類送検された。告発した法律会計特許一般労働組合(法会労)によると、決算が集中する繁忙期には月200時間を超える残業が常態化していたという。

 同法人は600人以上が働く業界トップクラスの法人で、約150カ国に事業網をめぐらすEYグループの傘下にある。東芝の不正会計問題で責任が問われている新日本監査法人もこの一員だ。

 法会労によると、同法人は2013年7月、中央労働基準監督署から是正勧告を受けたが、長時間労働を是正するどころか、その後も残業が月200時間を超える人が多数生じ、心身の健康を損ねる人や退職者が続出したという。

 そのため、法会労は翌14年、EY税理士法人、東京事務所代表社員、人事担当ら3人を、36協定(特別条項は月80時間)を超えて時間外労働をさせていたとして刑事告発していた。

 上部団体である全労連・全国一般東京地本の森治美書記長は「書類送検されるのは極めてめずらしい。当局もあまりの酷さを問題視したのだろう」と語る。

 組合員の男性は「海外ではコンプライアンス(法令順守)が厳しい。グループ内で自浄作用が生まれることを期待している。多くの従業員に伝え、職場を改善したい」と話している。

 〈解説〉野放しにされる無法
 「繁忙期には残業が月200時間を超え、寝袋で寝泊りしている」。耳を疑うような長時間労働だが、送検まで2年を要した。送検されたこと自体珍しいという。無法が野放しにされる現状の改善が急務だ。

 同法人は世界同時不況後の業績悪化でリストラを実施、最少人員で業務を回していると組合員は話す。

 問題は、労基法違反への効果的な対策がないこと。組合によると、労基署の是正勧告後、アンケート調査では100人以上が「不払い残業がある」と答えていたのに、請求したのはわずか数人。経営側による圧力を指摘する。直前に結成された分会には、過半数代表選出への介入、他企業でリストラを行ったと公言する「労務担当」の配置、不当配転など、敵視姿勢を強めた。

 こうした確信犯的な違法行為を是正するには、労働基準監督行政を強化する必要がある。雇用者1万人あたりの監督官の人数は国際基準の半分程度。この拡充が急務だ。

 また、政府が国会に提出している労働基準法「改正」法案の「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ制度)は、同様の長時間労働に対する規制を著しく弱めることも指摘しなければならない。(連合通信)。

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