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公示運賃下限額の7割程度の取引 |
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危険見過ごし続ける国 |
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規制緩和で安全性がないがしろにされているとの批判は、大事故が起こるたびに繰り返されてきた。近年では07年に起きたあずみ野観光バス事故や12年の関越道事故だ。こうした悲惨な前例にもかかわらず、なぜ違法な業者による事故の再発を防げなかったのか。 ▲抜け穴だらけの規制 自交総連大阪地連の松下末宏書記次長は「国の責任が最も重い」と憤る。 「私たちは現在の規制自体が緩すぎるということを以前から指摘してきたが、国は動こうとしなかった」 12年の関越道事故を受けて国交省が行った「交替運転者の配置基準」見直しでは、ワンマン運転の上限距離が従来の1日あたり670キロ(2日間平均)から、一運行で原則夜間400キロ、昼間500キロ、1日600キロまでに改定されたが、従来は含まれていた回送距離(営業区間外の運行)の規定を外している。また安すぎる運賃を規制し、安全にかかるコストを確保するため14年に改定された公示運賃でも脱法行為が横行。一見高い運賃でも旅行会社に「手数料」としてバックさせるやり方が事実上放置されている。 松下書記次長は「実際には公示運賃下限額の7割程度の取引が横行している」と指摘する。今回事故を起こしたバス運行会社「イーエスピー」が旅行会社「キースツアー」から請け負った運賃は、公示下限価格26万4000円の約7割の19万円だった。 ▲劣悪な労働環境を許容 厚生労働省の責任も問われる。安全性確保のためのドライバーの労働条件について、1989年に出された「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(改善基準告示)では、1日の最大拘束時間16時間以内、勤務間の休息時間8時間以上と定められている。しかし8時間の休憩では、通勤や身支度、食事などを考えると多くて5時間ほどの睡眠しかとれない。 自交総連ではこれまでも勤務間の休息を11時間以上にするよう再三要求してきたが、厚労省は「労使の機運が高まらないと難しい」という姿勢だ。松下さんは「違法が当たり前の事業者に、果たして労働条件を改善する『機運』が高まるだろうか。厚労省は改善していこうという気持ちがあるのか」と厳しく批判する。 ▲命守る気があるのか 観光バスドライバーの山本雅弘さんは、「07年に事故を起こした『あずみ野観光バス』は、会社名義を変えていまだに営業している。監査体制を強化しても根本の規制が甘ければ同じことが起きる。参入のハードルを上げるべき」と指摘する。 31年前に25人の命を奪った「犀川(さいがわ、長野市)スキーバス転落事故」以来の教訓が生かされなかったことが、今回の事故につながったと述べた上で、「国の規制が甘すぎることが違法な会社を生み出し、旅行会社の好き勝手な振る舞いを許している」と指摘。人が亡くなる事故が起きて初めて重い腰を上げる行政の姿勢を、「人柱行政だ」と厳しく批判した。 (連合通信) |
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