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成果主義は社会をむしばむ |
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学者、弁護士、労組関係者ら |
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昨年末に原告側の完全勝訴が確定した日本IBMの「成果主義賃金」制度をもとに、その弊害を指摘するシンポジウムが2月13日、都内で開かれた。この問題に関わる学者、弁護士、労組関係者らが「成果主義は社会をむしばむ」と警告、労組による積極的な関与を求めた。 労働総研の小越洋之助代表理事(國学院大学名誉教授)は成果主義について、「総額人件費の削減が一番の狙い。会社に都合の良い者には高評価を付け、大部分には賃下げを図る」と指摘。原告を支えるJMITU(旧JMIU)の生熊茂実委員長は、メンタルヘルス不全の増加や職場のチームワーク崩壊などの弊害を挙げ、「日本社会、企業に害毒を流し込んでいる」と警告した。 同委員長は職場の組合として、(1)成果主義の下でも一律の賃上げを求める(2)納得できない査定には労使交渉で情報を開示させ改善を話し合う――などの対応方針を説明。既に複数の職場で改善を獲得していると報告した。 同社の制度は相対評価で下位15%の社員に対し、年収換算で10%を超える賃金減額を行う。査定基準は曖昧で、昇給は幅、人数ともにわずか。制度の違法性を問うた裁判で同社は昨年、主張を全て取り下げる「認諾」を表明し、原告の完全勝訴が確定している。 ■制度廃止求めるたたかい/岡田弁護士、舞台裏語る 会社側が異例の「認諾」を表明したIBM賃金減額裁判。和解内容非公表の条件を付けようとした会社側の提案を蹴り、制度廃止を求めた原告らのたたかいが同社を追い詰めたと、原告側代理人の岡田尚弁護士が明かした。 この裁判の特徴は、原告一人ひとりの査定評価の不備について細かく立証するのではなく、制度自体の違法性を問うた点にある。 岡田弁護士は「懲戒処分による減額でさえ、終われば賃金は元に戻る。だが、IBMの制度は減額されれば退職まで戻らない。昇給もごくわずか。こんな制度を許していいのかという裁判だった」と語る。 結審の日に裁判長から和解提案があった。ほぼ原告の主張通りの内容に、同社が付けた条件は「和解内容の非公表」だった。 これに対し、「私たちの主張は元に戻すこと。『将来にわたり紛争が起きないことが保障されない限り、どんないい中身でも和解提案は蹴る』ということで皆が一致していた」。裁判長も「皆さんは自分たちのお金のためではなく、社会のためにされているのだから」と理解を示し、和解協議は決裂した。その後、判決日の一カ月前に同社が認諾を表明した。敗訴判決が濃厚と見て、その影響を回避したとみられる。 同社は「リストラの毒見役」を自称し、解雇規制を掘り崩すドリルの役割を果たしてきた。同弁護士は今回の裁判を通じ、「日本社会を根本から変えようとしていると強く感じた」と振り返る。 今回の裁判の対象は13年度の減額分のみ。次は14年度の減額分の返還を求め、近く2次提訴を行う。既に同社は16年度の減額を保留すると表明した。3月28日には「ロックアウト解雇」をめぐる裁判の判決が示される予定だ。 いま日本の雇用慣行を無視した米国流の雇用破壊が進みつつある。安倍政権による労働規制緩和はそれを制度面で支えるもの。「米国流」に対する反撃は正念場を迎えている。(連合通信) |
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